慌てない相続・揉めない相続

相続の相談をすべき専門家は誰?税理士・弁護士・司法書士から選ぶ方法とは?

相続には高額な資産が関わることが多く、相続財産の評価方法は複雑で、さらには節税方法も多岐に渡っているため、出来れば専門家に相談してみたいと思っている人も多いはずです。税理士・弁護士・司法書士に相談した方がよいケースとその事例について、詳しく解説します。相続の相談はどの専門家にするのがよいのか迷ったら、参考にしてください。

目次

平成27年の税制改正で相続税の基礎控除が大幅に減額されたことにより、相続税の納税義務者となる人が大幅に増えることになりました。相続税の申告は、個人や法人の確定申告のように毎年行うものとはちがい、多い人でも一生のうち2度程度しかないため、ほとんどの人にとっては馴染みが薄く、かつ難しく感じる人が多いのではないでしょうか。

相続について相談をしたい場合、どの専門家に何を相談すれば良いのかについて解説してみたいと思います。

相続の相談相手の選び方


相続が発生してから相続税の申告をするまでの間に、相続人は大きく分けると以下の3つのことを行います。

  1. 相続財産を誰がどのように相続するのかを決める
  2. 不動産の名義を変更するための登記を行う
  3. 相続税の申告書を作成する

相続財産を誰がどのように相続するのかを決める

相続財産を誰がどのように相続するのかを決めるためには、相続人同士の話し合いをしなければなりません。しかし遺産の分割を巡り意見の対立が生まれた場合には、民法の条文に照らし合わせながら解決していくことになります。

このように遺産の分割方法を巡りトラブルが発生した場合には、民法の専門家である弁護士に相談するのがベストです。

弁護士はこのような相続時のトラブルについて法的なアドバイスをし、時には代理人として相手方と交渉を行うことができます。このような業務は基本的に弁護士の独占業務(注)となっているため、弁護士以外がこれらの業務を行うことは法律により禁じられています。

(注)一部司法書士が行うことが出来る業務も含まれています。

不動産の名義を変更するための登記を行う

土地や建物などの不動産を相続した場合、名義の変更をするためには所有権移転登記を行わなければなりません。司法書士は不動産登記の専門家ですから、不動産登記についての相談は司法書士にするのがベストです。

なお、不動産登記は事実上司法書士の独占業務のようなものですから(注)、これらの業務を司法書士以外が行うことは法律で禁じられています。

(注)正確には、弁護士も不動産登記業務を行うことができますが、専門外のため、実際には登記業務を行っている弁護士はほとんどいません。

相続税の申告書を作成する

相続税の申告書に関する相談や依頼をされる場合には、相続税の専門家である税理士に相談しましょう。

また、相続財産に非上場会社の株式が含まれている場合には、相続税以外にも法人税などの知識が必要になることもあります。

このように相続税の申告を正しく行うためには、相続税以外にも複数の税法の知識を多角的に使いこなす能力が求められます。

なお相続税の申告は税理士の独占業務であるため、これらの業務を税理士以外が行うことは法律で禁じられています。

相続税の申告を税理士に依頼する場合

相続税には「基礎控除」といって、相続財産から一定金額を控除(「こうじょ」・・・「引く」と同意)してもらえる制度があります。

相続税の基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」によって求めることができます。ですから法定相続人が配偶者と子供2人の合計3人であった場合、その基礎控除は以下のようになります。

相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×3人=4,800万円

このように、基礎控除額をご自身で計算し、基礎控除額と比べて相続財産の額の方が多い場合には税理士に相談した方がよいでしょう。

基礎控除を超えていなくても税理士に相談した方がよい場合

相続財産の中に、大規模な土地や非上場会社の株式が含まれている場合は要注意です。これらの財産を正しく評価するのは大変難しく、かつ評価を間違えてしまうと致命傷となってしまう場合があります。

このような場合には、迷わず税理士に相談することをおすすめします。

税理士にも得意・不得意な分野がある?

税法には、所得税や消費税・相続税だけでなく、法人税をはじめさまざまな税法があります。税理士は税法のプロですから、それらすべてについてのひと通りの知識は持っていますが、当然ながら得意・不得意があります。

弁護士であれば過払い金専門の事務所があるように、また医師であれば内科医や小児科医などの専門医がいるように、実は税理士にもそれぞれの得意分野があります。

最近では「相続税専門」や「資産税専門」など、自らの専門分野を積極的にアピールしている税理士も増えてきていますから、相続税について相談する場合には、できるだけ相続税を専門に行っている税理士に依頼するのがよいでしょう。

こちらの記事では、相続税対策について解説しています。⇩

相続について弁護士に依頼する場合

相続財産を巡り身内同士で争いごと(いわゆる「争族」)が起こった場合や、被相続人に非嫡出子(いわゆる「隠し子」)がいた場合、また相続財産の権利・義務関係が複雑である場合や相続放棄などを考えている場合には、弁護士に相談するのがよいでしょう。

相続人同士の話し合いではうまく行かない場合には遺産分割調停などを行うことになりますが、その場合弁護士は代理人として裁判手続きなどを行うことができるため、法律手続きに不慣れな依頼人にとっては大変心強い味方となります。

またこれら以外にも、弁護士であれば遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)を行うことができます。

遺留分減殺請求とは、被相続人が相続財産の分配について、特定の人間にのみ相続させるような偏った遺言書を残した場合に、一定の範囲内の法定相続人が最低限の遺産の相続分を確保することができる制度のことをいいます。

被相続人が遺言書を残した場合、法的にその形式に問題がなければ基本的にはその遺言書の内容に従い相続人が相続するわけですが、あまりに偏った財産の分け方であった場合には、一定の範囲内の法定相続人であれば、相続財産の一部を相続する権利を主張することができるわけです。

参考:遺留分とは?認められていない人もいる?!請求方法と注意点

このように、遺言書の内容が元でトラブルが発生した場合にも、弁護士にその解決を依頼することができます。

ただし、これらの法的手続きや裁判などにはかなりの手間と時間がかかるため、一般的に他の士業と比べるとその報酬は高くなる傾向にあります。

相続について司法書士に依頼する場合

最後は、相続について司法書士に依頼する場合です。司法書士ができることはおもに以下のとおりです。

  • 不動産の所有権移転登記
  • 不動産の抵当権抹消登記
  • 遺言書の作成
  • 遺言書の検認
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続放棄の申述

司法書士は不動産登記のプロフェッショナルですから、不動産の所有権移転登記や抵当権抹消登記などに関して相談する場合には司法書士に相談するのが最適です。

なお、それ以外のほとんどの業務は、弁護士とバッティングしています。

司法書士と弁護士の違い

司法書士と弁護士の大きな違いは、代理権があるかどうかです。代理権とは本人に代わり裁判手続きや交渉を行う権利であり、このような権利を弁護士は持っていますが、司法書士は持っていません。

そのため、司法書士と弁護士がバッティングしている業務分野についても、司法書士が業務として行うことができるのは書類を作成することまでで、相手方との交渉や裁判などの手続きを行うことはできません。

たとえば相続放棄の申述や遺留分減殺請求なども、書類を作成して郵送するまではできますが、それについて起こったトラブルの解決などを本人に代わって行うことはできません。

相続の相談の際に注意すべきポイント

それでは最後に、相続の相談をする場合に注意すべきポイントをまとめてみます。

ポイント① 各士業の出来ることや得意分野について事前に理解しておく

税理士や弁護士・司法書士は、一部の業務に関してバッティングしている部分もありますが、基本的にはそれぞれが得意な分野は異なります。

それを的確に理解し、どのケースではどの士業に頼むのが一番望ましいのかを理解しておきましょう。

なお、それぞれの士業の得意分野を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 税理士
  • ・・・相続税の申告や節税の相談

  • 弁護士
  • ・・・相続に関する揉め事全般。特に、ご自身に代わって他の相続人などと交渉してもらう場合や、最終的には裁判などを行う可能性がある場合

  • 司法書士
  • ・・・相続した不動産の登記業務全般

ポイント② 同じ士業同士でも、相続に精通しているかどうかで変わることがある

同じ税理士・弁護士・司法書士同士であっても、相続に精通している人もいればそうでない人もいます。それぞれの士業が扱っている法律の分野がそれぞれに大変広範なため、オールマイティーに全ての分野に精通している人はほとんどいません。

たとえば、「相続税の申告や節税の相談は税理士に頼めばいい!」というのでは、半分当たっていますが、半分は残念ながら違います。

正解は、「税理士に頼めばいい」ではなく、「相続に精通した税理士に頼めばいい」です。

相続に精通した税理士であれば相続税の節税にも詳しいため、相続税の税額が大幅に減る(=節税ができる)可能性が高くなります。このことは、税理士以外にも、弁護士や司法書士にもいえることです。

ですから、相続に関する依頼をする場合には、相手が相続に精通しているかどうかを慎重に見極めてから依頼するように心がけましょう。

まとめ

相続がおこった場合、誰に相談すればよいかは相談内容によって変わります。相続税に関することであれば税理士に、相続財産の分割方法や遺言書などをめぐるトラブルであれば弁護士に、そして不動産の登記に関することであれば司法書士に相談しなければなりません。

ただしどの税理士・弁護士・司法書士も、全員が相続業務に精通しているわけではありません。たとえば税理士であっても、相続税に不慣れな税理士はたくさんいます。

したがって、相続について各士業に相談する場合には、相手が相続税に精通しているのかをよく見極めてから依頼することが重要ですが、相続に精通している税理士は、同じく相続に精通した弁護士や司法書士を知っていることが多いです。
まずは財産に関することなので相続に強い税理士に相談し、そこから他の士業を紹介してもらうのもいいでしょう。

「不動産と相続の専門家集団」マルイシ税理士法人

マルイシ税理士法人は、不動産オーナーの相続税申告を専門としています。相続財産に自宅やアパートなどの不動産がある場合には、迷わずご相談ください。

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

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