株式の相続方法

株式を相続したらどうなる?株式の相続方法や節税方法について

現金預金や建物とならび、相続財産に含まれることの多い財産のひとつに株式があります。株式は、昔とは違い今ではネット上で簡単に取引口座を開設することができるだけでなく、スマートフォンで売買の取引までできるため、資産のひとつとして株式を所有している人が増えています。

目次

このように、誰もが簡単に持つことができるようになった株式ですが、それを相続する場合は、残念ながら現金預金のように簡単ではありません。

なぜなら、株式には常に価額が変動している上場株式と、評価しなければ価額そのものが分からない非上場株式の2種類があり、どちらの評価方法も複数あるために、選択を間違えてしまうと評価額そのものが大幅に変わってしまうからです。

株式の種類と相続した場合の評価方法

それではまず、株式の種類から解説していきます。

株式は2種類ある

株式とは、株主から集めた資金に対して発行する証書のことをいいます。昔は実際に紙で印刷した株券を株主に渡していましたが、2004年6月に株券電子化に関する法律が公布されたため、株主が実際に株を手に取ることはなくなりました。

実はこの株式には、2つの種類があります。一つが「上場株式」、そしてもう一つが「非上場株式」です。

上場株式とは

上場株式とは、東証一部をはじめとする株式市場に上場しており、投資家であれば基本的に
誰でも購入することができる株式のことをいいます。

なお、株式は証券会社や信託銀行などが管理しているため、購入するためには証券取引所ではなく証券会社の窓口やHPなどで購入します。また、常に値動きがあるため、額面価額ではなくその時の時価で購入します。

非上場株式とは

非上場企業とは、上場企業のように株式市場に上場していない株式のことをいいます。したがって、非上場株式の大半は中小企業のものとなりますが、なかにはサントリーのように世界的な大企業であっても非上場株式の場合もあります。

上場株式との最大の違いは株式の売買が市場でされていない点で、時価がついていないため、株式の価額を知るためにはその都度評価をしなければなりません。

株を相続した時の2通りの評価方法


株式を相続した場合の評価方法は、上場株式と非上場株式によってことなります。上場株式の評価方法については次章で改めてご紹介しますので、ここでは非上場株式の評価方法についてお話しします。

非上場株式の評価方法は、その株を持つ人が誰なのかによって変わります。株式を持っている人が、その会社の株式を50%超持っているような同族株主グループに属しているのであれば「原則的評価方式」を、そうでない少数株主グループに属しているのであれば「配当還元方式」によって評価します。

原則的評価方式とは

原則的評価方式による評価方法には、以下の3つの方法があります。

  1. 類似業種批准方式
  2. ・・・上場している類似業種の企業と比較して株価を求めます

  3. 純資産価額方式
  4. ・・・会社の時価純資産価格から株価を求めます

  5. 両者の折衷方式
  6. ・・・評価会社の規模から両評価方法の折衷割合を定めて株価を求めます

評価対象となる会社の規模が大きい場合は「類似業種批准方式」もしくは「純資産価額方式」のどちらかを選択することができますが、それ以外の会社は「純資産価額方式」もしくは「両者の折衷方式」のどちらかを選択します。

配当還元方式とは

配当還元方式とは、これまでの配当実績から今後10年間の配当総額を求め、それを株式の評価額とする評価方法のことをいいます。株式の所有者が少数株主グループに属している場合、会社の経営権に何の影響も及ぼすことができないため、株式の価値は配当でもらえる金額の価値程度でしかありません。したがって、少数株主グループに属している場合は、配当還元方式により株式を評価するわけです。

上場株式の相続税評価額


それでは次は、上場株式の評価方法についてです。上場株式は非上場株式とはことなり市場で売買されているため、評価しなくても株価そのものを調べることができます。ただし、株価は刻一刻と変わるため、どの時点での株価を評価額とするのかがキーポイントになります。

上場株式の相続税評価方法

上場企業の株式を評価する場合、以下の4つの価額のうち最も低い価格をその株式の評価額とします。

  1. 相続があった日の終値
  2. 相続があった月の終値の平均額
  3. 相続があった月の前月の終値の平均額
  4. 相続があった月の前々月の終値の平均額

ただし、被相続人が亡くなった日が土日祝日の場合は相場が開いていませんから、最も近い日の終値を相続発生日の終値とします。

また、連休中の中日に亡くなった場合には、連休前の終値と連休後の終値の平均値を相続発生日の終値として評価します。

上場株式の相続税評価例

それでは実際に、設例を用いて上場株式の相続税評価を行ってみましょう。

被相続人が亡くなった日のA社(上場企業)の株価が以下のとおりであったとします。

  • ①9月20日の最終価格…3,000円
  • ②9月の終値の平均額…3,200円
  • ③8月の終値の平均額…3,500円
  • ④7月の最終価格の平均額…2,800円

この場合、④の評価額が一番低いため、2,800円をA社株式の相続税評価額とします。

上場株式の終値・平均額の調べ方

上場企業の株式の終値や平均額は、インターネットの検索サイトを利用すると簡単に調べることができます。

・Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/
・日本取引所グループ:https://www.jpx.co.jp/

上記のサイトにアクセスし、具体的な株式銘柄もしくは証券コードを検索窓口に入れると、終値や平均額を調べることができます。

株式の相続方法

それでは次に、実際に株式を相続する場合どのような手続きが必要なのかについてご説明します

上場株式の相続方法

上場企業の株式は、ほとんどの場合証券会社がその管理を行っています。したがって、被相続人が購入した証券会社に問い合わせ、株式の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きを行います。

名義変更のために必要な書類は証券会社ごとに違いますが、多くの場合共通して以下の書類が必要となります。

  • 被相続人の死亡が確認できる書類
  • ・・・戸籍謄本、住民票除票の写しなど

  • 相続人との関係が確認できる書類
  • ・・・戸籍謄本、または法定相続情報一覧図

  • 本人確認書類
  • ・・・相続人の本人確認書類の原本またはコピー(いずれか1つ)

  • 株式の相続人であることが確認できる書類
  • ・・・遺産分割協議書(相続人が複数いる場合のみ必要)

非上場株式の相続方法

非上場企業の株式は、たいていの場合その管理を当該会社が行っています。したがって、会社に直接問い合わせ、相続による名義変更を行います。

なお、手続きに必要な書類は、多くの場合上述の上場株式の時とほぼ同じものになります。

相続放棄をする場合

上場・非上場に関係なく、株式を相続せずに相続放棄する場合は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行わなければなりません。無事に受理されると、相続放棄が認められることになります。

被相続人の確定申告をする

被相続人が生前株式の売買や配当金を受け取っていた場合は、亡くなってから4ヶ月以内に準確定申告を行わなければなりません。なお、準確定申告書は被相続人の居住地を管轄している税務署に提出します。

株券を紛失した場合

株券を紛失してしまった場合は、株式発行会社に連絡をして株券喪失登録の申請を行ないます。株券喪失登録の翌日から1年が経過すると、紛失した株券は無効となりますが、代わりに新しい株券が再発行されます。

株式の相続でできるだけ節税するには

上場企業の株式は相続後に株式市場で売却することができるため、株価が上がっても特に何の問題もありません。しかし、非上場企業の株式は基本的に売買することが難しく換金性に乏しいため、相続税評価額が高くなり過ぎてしまうと相続税だけが高額となってしまい、デメリットしか残りません。

したがって、非上場企業の株式の相続を考えた場合は、株価を一定以下に抑えて相続税が高過ぎないようにしなければなりません。

自社株の評価額を下げる

非上場株式の場合、上述のように評価額が高くなり過ぎると相続税も高額になってしまいます。ですから、自社株が高すぎる場合は、その評価額を一定の範囲内まで下げなければなりません。

そのためには、積立型生命保険の活用や役員報酬の見直しなどをはじめさまざまな方法を検討し、状況に応じてそれらを適宜組み合わせて実行する必要があります。

贈与・売却を視野に入れる

このような株価の引き下げと同時に、株式の贈与や売却を行うと、相続時の節税効果を生み出すことができます。特に贈与の場合は基礎控除や特例などがあるため、それらを上手に組み合わせることにより、相続税額を大幅に節税することができる場合があります。

税理士に相談する

非上場株式の自社株対策にはさまざまな方法があります。どの方法を選択するのかを判断するためには極めて専門的な知識が必要であり、またそれらが効果を発揮するためには一定以上の期間が必要となります。

自社株対策でご心配な方は、できるだけ早く税の専門家である税理士に相談されることをお勧めします。

株式の相続時の税金はマルイシメディアに相談


株式を相続する場合は、上述のように自社株の評価額を下げることによって節税をすることは十分に可能です。しかし、そのためにはある程度の時間が必要です。もちろん短期間である程度の節税を達成することは可能ですが、経営状態が良好で内部留保の多い企業のような場合には、短期間で行えることには限界があります。

また、単に評価額を下げることだけを考えてしまうのも問題です。評価額を下げるためには、現金預金などをはじめとする会社の資産を、長期的にある程度社外へはき出し続けなければなりません。

しかし、この作業は大変難しく、一歩間違えてしまうと評価額を下げることには成功しても、会社の資金繰りを悪化させてしまうことになりかねません。ですから、会社の経営状況を横目で見ながら、どれぐらいが適正な株価なのかを判断し、そこを狙って評価額をコントロールしなければなりません。

また、長期的にコントロールを行う中で、税法の改正が行われる場合があります。そうなってしまうと、これまでの方法が通用しなくなる恐れがあるため、法改正に合わせて適宜方法を変更していかなければなりません。

このように、会社の経営状態を悪化させない程度の「適正な株価」を設定し、微調整を繰り返しながらそこへ向けてコントロールしていく作業は針の穴に糸を通すような難しさがあり、税の専門家である税理士にとっても極めて難易度の高い作業となります。

税理士にもそれぞれ得意不得意があり、専門的に行っている分野はそれぞれことなるため、このような作業を依頼する場合は相続税を専門に扱っている税理士に依頼しなければなりません。

マルイシメディアは不動産相続を専門に取り扱っており、日常的にこのような業務を行っている税理士が多数在籍しています。株式の相続でご心配な方や疑問がある方は、ぜひお気軽にマルイシメディアの無料相談にお問い合わせください。

まとめ

株式には、上場株式と非上場株式の2種類があります。上場株式に関しては、取引のある証券会社に問い合わせをすることで相続後の手続きを行うことができ、また相続税評価額算出のための基礎資料を入手することも比較的スムーズに行うことができます。

問題は非上場株式の方で、上場株式のように毎日の売値があるわけでないため、評価してみなければいったいいくらになるのかさえ分かりません。しかも、高値がついていたとしても、簡単に売買することができるわけではないため、一歩間違えると高額な相続税のみを負担する事態が生じてしまう恐れがあります。

このような事態を避けるためには、なるべく早いうちから評価額を定期的にチェックし、相続税を節税するための株価対策を行わなければなりません。

そのため、非上場株式を相続する予定がある方や相続された方は、できるだけ早い段階で税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

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