他の相続人との違いを確認

未成年は相続できる?未成年が相続する場合の注意点と節税方法について

相続が起こった時、成人だけでなく未成年者も相続人となる場合があります。しかし、相続人が小学生や中学生のような未成年者の場合は、相続人の権利を正しく行使することが出来るとは到底思えません。

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

目次

未成年者は遺産を相続することが出来ないのでしょうか?あるいは、出来るのであれば、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

未成年者が相続する際に気を付けるべき注意点

相続が起こると、相続人同士で遺産分割協議を行います。この遺産分割協議は相続人の相続財産を決める契約であり、民法ではこれを法律行為といいます。

相続人が未成年者であっても遺産分割協議を行わなければなりませんが、そもそも未成年者の法律行為は、民法で禁止されています。

未成年は法律行為を行えない

民法では、未成年の法律行為を以下のように定めています。

未成年者は、親などの法定代理人の同意を得なければ原則として有効な法律行為(契約など)をすることができません(民法第5条)。これに反した行為は本人や親などが取り消すことができます(民法第120条)。

たとえば、19歳の娘が親に黙ってブランド物の毛皮のコートを100万円で買ったとします。この契約は法定代理人である親の同意を得ていないわけですから、契約自体が無効となります。したがって、売買を取り消して返品することができるわけです。

このように、未成年には法律行為を行うことができないため、販売している側も親の同意がなければ、未成年には販売しないわけです。

遺産分割協議に参加できない

遺言書がある場合を除き、遺産を分割する場合は、相続人同士が集まって誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。これを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。

もし、相続人の中に未成年がいたらどうなるでしょうか?未成年である相続人も交えて
遺産の分割方法を話し合い、誰も不満なく話し合いが終了したとします。本来であれば「良かった、良かった」で終わりですが、残念ながらそうは行きません。

なぜなら未成年には法律行為が行えないからです。したがって、未成年を交えて遺産分割協議を行ったとしても、協議内容は法的に無効になってしまいます。

つまり、未成年は遺産分割協議に参加できませんし、未成年がいては遺産分割協議が行えないわけです。

代理人の選任が必要

しかし、このまま放置しておくと誰も財産を相続することができません。そのため、相続人に未成年がいる場合は、本人に代わり代理人が法的行為を行います。

通常は法定代理人である親が未成年者に代わって遺産分割協議に参加するため、これで無事に財産を相続することができるわけです。

未成年が相続する際に必要な特別代理人の選任

未成年の法律行為を行う代理人は、通常は法定代理人である親権者が行います。しかし、未成年者と親権者の利益が衝突する場合は、親権者が未成年の代理人となることは出来ません。

たとえば、父親が亡くなり、母親と未成年者の子供が相続人となる場合などがそうです。この場合、母親の相続財産が増えると子供の相続財産が減り、母親の相続財産が減ると子供の相続財産が増えることになります。

こういった状態で、母親が子供の代理人として遺産分割協議を行うと、協議内容の公平性を担保するのが難しくなってしまいます。したがってこのような場合は、親権者である法定代理人ではなく特別代理人を選出し、特別代理人が未成年者の法律行為を行うことになります。

ちなみに、信任を得て業務を行う地位にある人物が、立場上追求すべき利益や目的とその人物が他にも有している立場の利益が相反している状態のことを「利益相反(りえきそうはん)」と言います。

相続人である親が、同じく相続人である未成年の子供の代理人に選任されてしまうと利益相反となってしまうため、このような場合には、親は子供の代理人になることは出来ないわけですね。

特別代理人についてよく知りたい方は、「【遺産相続】特別代理人とは?選任が必要なケースと申立の流れ・必要書類を税理士が解説」をご覧ください。

相続税対策が可能!未成年者控除について

相続人が未成年者の場合は、未成年者控除という税額控除を使うことが認められています。この未成年者控除の計算方法は、以下の算式を用いて算出します。

  • (20歳-相続した時の年齢)× 10万円

たとえば、相続した年の年齢が10歳の場合であれば、未成年者控除の額は以下のようになります。

  • (20歳-10歳)×10万円=100万円

したがって、10歳の未成年が相続人となった場合は、未成年者控除として100万円を相続税額から控除することができます。

仮に、20歳の長男と10歳の長女が相続人となり、双方の相続税額が最終的にお互い150万円だった場合、最終的な納税額は以下のようになります。

  • 長男・・・150万円
  • 長女・・・150万円-100万円(未成年者控除)=50万円

このように、未成年者が相続人となる場合は、未成年者控除を使うことにより相続税対策を行うことが出来ます。

また、控除しきれない未成年者控除がある場合は、その分を未成年の扶養義務者から控除することが出来ます。したがってこのような場合は、未成年の子供に加えて扶養義務者の節税も同時に出来ることになります。

未成年者控除を受けることが出来る要件

なお、未成年者控除を受けるためには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 相続開始時に20歳未満であること
  • 相続または遺贈により財産を取得したこと
  • 法定相続人であること
  • 原則として相続開始日に日本に住所があること

相続人が上記の要件をすべて満たさなければ、未成年者控除を受けることは出来ません。ご注意ください。

未成年者の相続放棄

未成年者が相続放棄を行う場合は、未成年者と親権者との関係が利益相反にならない場合は法定代理人である親権者が未成年者の相続放棄を行います。

逆に、未成年者と親権者の関係が利益相反にあたる場合は、親権者に代わって選出された特別代理人が未成年者の相続放棄を行います。

未成年者が相続放棄をすると親権者の相続分が増える場合

未成年者が相続放棄をすると親権者の相続分が増えてしまう場合、子と親は利益相反の関係になります。

したがって、このようなケースで未成年者の相続放棄を行う場合は、特別代理人を選任しなければなりません。

子も親も相続放棄を行う場合

子も親も相続放棄を行う場合は、双方ともに財産を得ることはありませんから子と親の間に利益相反は起こりません。

したがってこのような場合には、法定代理人である親権者が子の相続放棄を行います。

まとめ

未成年者が法律行為を行う場合は、親権者である法定代理人の同意を得なければなりません。したがって、未成年者が相続人となった場合は、法定代理人である親が子に代わって相続人として遺産分割協議に参加することになります。

しかし、未成年者と親権者が相続人として利益相反の関係にある場合は代理人となることが出来ないため、親権者に代わって特別代理人を選任しなければなりません。

このように、未成年者が相続人となる場合は成約されることが多くなりますが、他の相続人とは違いその分未成年者控除を使った節税が認められています。また、控除しきれなかった未成年者控除は扶養義務者から引くことが出来るため、未成年者だけでなく扶養義務者も節税をすることが出来ます。

これらの条件に該当する方は、早い段階から税理士などの専門家に相談し、節税のメリットを最大限に受けられるように準備しておくのが良いでしょう。

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