利回りを基礎から解説

アパート経営における利回りとは?相場と注意ポイントについて

アパートを購入するための基準として重要な「利回り」。不動産投資において利回りが重要だと知りつつも、実際にどのくらいの数値であれば良いのか、また注意すべきポイントはどんな点なのか、きちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。 そこで本記事では、アパート経営における利回りと相場について解説いたします。アパート経営の利回りの見方と注意するべきポイントについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

アパート経営における利回りとは?

投資用語でしばしば目にする「利回り」。この利回りとは、物件価格に対する割合のこと。つまり、出費に対してどの程度収益が出るのかを数値化したものです。

不動産投資では、利回りを見ることで物件の収益性がわかります。

  • 物件価格1,000万円で利回り9%だった場合→年間家賃収入90万円
  • 物件価格1,000万円で利回り20%だった場合→年間家賃収入200万円
    • このように、利回りを確認すればおおよその年間家賃収入がわかるという仕組みです。

      利回りは不動産会社によって数値が違う

      ところで、この利回りですが、同じ条件で購入した物件であっても計算方法によって数値が異なります。

      不動産情報サイトごとに算出している数値も違うため、計算方法を理解しておかないと「想像していたより実際の収益が少なかった」ということにもなりかねません。利回りの算出方法を理解し、実際に計算してみることが大切です。

      3つの利回りと計算方法

      アパート経営においてよく利用される利回りは、以下の3つです。

      表面利回り(グロス) 年間収入 ÷ 物件の購入価格×100
      実質利回り(NET) (年間収入-年間支出)÷ 物件の購入価格×100
      想定利回り(NOI) (想定家賃収入-年間支出)÷物件の購入価格×100

      上記の計算式を見比べてわかるように、利回りとは簡易的に算出できるものとより詳細に算出するものに分かれます。

      不動産広告で打ち出している利回りの多くは、簡易的に計算できる「表面利回り」で計算されているものがほとんどです。しかし、実際のアパート経営では修繕費用や保険料などの支出もあります。この支出分も含めて計算してみた「実質利回り」では、表面利回りよりも収益の割合が低くなることがわかります。

      しかし、この2つの利回りも完璧ではありません。上記の計算式は満室を想定した算出方法だからです。実際の経営では、入居者が決まらない空室期間も存在します。この空室期間があることを想定した利回りが、「想定利回り」なのです。

      実際に利回りを計算してみよう!3つの利回りの「差」

      では、計算方法によってどのくらい数値に「差」がでるのか、実際に計算してみましょう。仮に物件価格が1,000万円、年間家賃収入が200万円、維持費が50万円であったと仮定して計算してみます。

      例)物件価格1,000万円、年間家賃収入200万円のアパートの場合
      ・グロス計算 200万円÷1000万円×100=20%(表面利回り)
      ・NET計算 (200万円-50万円)÷1,000万円×100=15%(実質利回り)

      さらに、空室期間があることを想定して計算してみます。例えば、上記のアパートは全2部屋で、片方の部屋が1年間空室であったと仮定します。

      例)物件価格1,000万円、年間家賃収入200万円、1部屋空室のアパートの場合
      ・想定家賃収入 200万円÷2=100万円
      ・NOI計算 (100万円-50万円)÷1,000万円×100=5%(想定利回り)

      いかがでしょうか。物件価格と家賃収入が同じでも計算式が違うだけで、利回りが異なることがわかりますよね。より詳しく計算した時の方が、利回りがどんどん低くなることがおわかりいただけたと思います。不動産情報誌やウェブサイトでは、より利回りを大きく魅せるために、表面利回りが記載されているのです。

      このように、利回りをみるときは、数値のみならず「どの計算式を使用しているのか」を注視しなければいけません。購入時には表面的な数値に踊らされないように、利回りの相場やキャッシュフローもしっかりと確認することが大切です。

      アパート経営における利回りの相場

      利回りに「差」はあると理解できたものの、これからアパートを購入しようと思っている人は「何%の利回り物件を購入したらいいのか」とお悩みになるのではないでしょうか。

      利回りの相場は、立地や築年数、間取りによって大きく左右されます。また都市部や地方によっても、算出される利回りも異なります。

      ここからは、「新築物件」「中古物件」ごとの利回りの目安についても解説していきます。

      新築物件の利回り相場

      一般的に新築物件の利回りの相場は、おおよそ4~5%ほど。中古物件と比較すると、利回りは低くなりがちです。これは土地の購入費用や建物の建築費用が高いため、利回りが低くなってしまうのです。

      中古物件の利回り相場

      一方で、中古物件の利回りの相場は、おおよそ5~10%ほど。新築物件よりも購入費が安く済むため、利回りが大きくなります。

      都市部と地方の利回り相場

      また、東京や大阪のような首都圏の利回りの相場は5~8%、地方の県庁所在地では7~9%、それ以外の土地では10%程度が相場です。

      このように、利回りは築年数や物件の所在地によって、数値が異なります。これから購入する場所の利回りの相場がどの程度あればいいのか、事前にリサーチしておくことが大切です。

      アパート経営の利回りの見方と注意するべきポイント

      ここまで、利回りの相場についてお話ししてきました。

      しかし、忘れてはいけないことが、ひとつだけあります。利回りはあくまで「購入の目安のひとつ」だということ。利回りだけで、物件の良し悪しが決まるわけではないのです。

      では、利回りとはどのように向き合っていけばいいのでしょうか。最後に利回りの見方と注意するべきポイントについて解説いたします。

      利回りが高すぎる物件にはリスクもある

      新築物件よりも利回りが高い「中古物件」。しかし、高すぎる利回りには目に見えないリスクが潜んでいる可能性があるため、注意が必要です。

      利回りが高い物件には、以下のようなリスクが潜んでいる可能性があります。

      ・購入後に修繕が必要になる
      ・空室率が高くなる可能性

      中古物件には新築物件にはないリスク要因が存在します。その代表的な例としてあげられるのが「修繕費」。中古物件の中には、大規模なリフォームやリノベーション工事が必要になる物件もあります。

      また、売主が高値で売却するために満室状態で算出している可能性もあります。つまりは、空室を考慮しない表面利回りで算出し、実際の利回りはもっと低い数値である可能性も十分あるのです。

      購入するときに注意すべきポイント

      「では、利回りは全くあてにならないのか」と言われると、そうではありません。利回りはアパートを購入するときの目安だと解説してきました。

      大切なのは数値だけでなく、高利回りを根拠付けるポイントがあるかどうかです。表面的な数値に惑わされないようにするためには、オーナー自身が「入居が見込めるかどうか」を調べる必要があるのです。

      高利回りを根拠づけるポイントは、以下の通り。

      ・家賃相場は適正か
      ・賃貸需要があるか
      ・周辺物件よりも優れている点はあるか

      高利回りの物件を見つけたら、まずは周辺物件の家賃とお目当ての物件の家賃の「差」を確認してみましょう。家賃は不動産情報サイトや不動産業者に聞くことで簡単に確認できます。

      また、周辺環境を確認し、該当物件の賃貸需要があるかどうかもチェックしましょう。駅近物件や人気の学区内であれば、一定の需要は見込めます。反対に、周辺に目立った施設もなく、通勤や通学に不便な物件であれば、需要は見込めないでしょう。

      新築と中古はどちらがお得なのか

      新築物件の利回り相場は、中古物件より低いため、お得感がないように思えます。

      しかし、新築物件は中古物件と比較すると、入居率が高いことや、早期に売却しても高値で売れるという利点もあります。一見、確かに利回りは低く感じますが、これらのメリットも考慮して購入を検討してみてください。

      一方で、中古物件は新築物件に比べ利回りが高く、購入費用も安いため、お得感を強く感じてしまうのではないでしょうか。

      しかし、中古物件は建物によっては購入後に多額の修繕費が必要になったり、入居率が悪化したりするケースもあります。こちらは、高い利回りに惑わされないように、しっかりと物件を見極めていきましょう。

      まとめ

      利回りは、アパート購入時の目安のひとつですが、実際の収益率とは異なるケースもあります。どんなに高い利回り物件でも、根拠がなければ、想定していた家賃収入を得られません。

      購入したい物件を見つけたら、利回り以外にも「入居率が維持できるかどうか」「購入後に修繕費は必要か」などを確認してみてください。もし、欲しい物件が見つかっても購入すべきかどうか判断に困ったら、専門家の紹介する不動産コンサルタントのようなプロを頼るという方法もありますので、ぜひ検討してみてください。

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

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