どれくらいの規模で経営すれば良いか

家賃収入で生活するためのポイントは?不動産投資でいくら稼げる?

「家賃収入で暮らしたい」この目標を叶えるために、不動産投資を検討中の人のための記事です。この記事の前半では、家賃収入の仕組みや安定した利益を得るためのポイントを解説。後半では、アパート経営をすると、実際にどれくらい手残りがあるかをシミュレーションします。ご一読いただければ、家賃収入での生活の実現に一歩近づくはずです。

目次

家賃収入とは?

家賃収入とは、アパート、マンション、戸建てなどの賃貸物件を所有し、それを入居者に貸すことで得られるリターンです。家賃収入の魅力は、決まった額が毎月入ってくること。コツコツと安定収入を得たい人と相性がよい資産運用です。

家賃収入のもうひとつの魅力は、時間的な拘束なしで得られることです。そのため、自由時間の少ないビジネスパーソンをはじめ、本業で多忙な経営者、ご高齢の資産家などに支持されています。

加えて、家賃収入の特性には、景気にほとんど左右されないことが挙げられます。リーマンショックやコロナショックの直後でも、住居用の賃貸物件の家賃収入はほぼ現状維持でした。経済の先行きが見えづらい状況下でも計算できる存在。それが家賃収入といえます。

家賃収入から手残りが得られる仕組みとは?

ただし、家賃収入はそのまま手残りになるわけではありません。家計で考えれば、家賃収入は毎月の給与です。ここからさまざまな費用が差し引かれ、さらに、税金を支払った残りが手残りとなります。

家賃収入から差し引かれる費用の例

・管理会社への管理報酬(委託料)・各種税金(固定資産税や都市計画税など)・修繕費・ ローン金利・建物の減価償却費・顧問税理士の報酬・その他、不動産投資に関わる各種経費など

「家賃収入での生活」を実現するための5つのポイント

家賃収入を得れば、不労所得の生活が叶えられる−−。これを実現できるのは、賃貸オーナーのうちのごく一部です。次に挙げる5つのポイントが、夢を実現するための条件になります。

ポイント1:複数の物件を所有する

家賃収入で生活していくには、規模感のある経営が前提になります。例えば、毎月の手残り1万円のワンルームマンション(例:家賃収入7万円−費用6万円)を1〜3居室所有しても、それだけで生活をしていくのは困難です。家賃収入で生活していくには、まずこれくらいの生活費が必要という目標があり、それに合わせた規模(棟数・居室数)を設定することから始まります。

ポイント2:ローン金利を抑える

たくさんの賃貸物件を所有していても、それが高金利のローンで購入したものであれば、月々の返済が重くなります。その結果、キャッシュフローが悪くなれば、家賃収入だけで生活することはできません。ローンを利用する場合、低金利に抑えることも大事です。

ポイント3:空室対策をすること

前述のポイント1と2をクリアしても、そもそも所有しているアパートやマンションが空室だらけでは家賃収入だけで生活するのは難しくなります。それどころか空室率が高ければ、手持ち資金でローン返済を払っていく状況に追い込まれかねません。また、ローンを利用しない場合も、価値のない不動産に投資したという結果になってしまいます。

安定した家賃収入を得ていくためには、空室対策が必須です。効果的な空室対策の例としては、好立地の賃貸物件を持つこと、入居者に人気の設備を導入することなどが挙げられます。

ポイント4:信頼できる管理会社を選ぶ

長期的に安定した家賃収入を得ていくには、物件管理や入居者管理の質が欠かせません。ちなみに、物件管理とは定期清掃や巡回など、入居者管理とはクレーム対応や家賃督促などです。これらの業務はオーナー自身でもこなせますが、手間がかかるため管理会社に委託するケースが多いです。この管理会社選びで信頼できるビジネスパートナーを選ぶことも、不動産投資の成功の鍵を握ります。

ポイント5:メンテナンスをしっかり行う

賃貸物件は、築年数と共に劣化し傷んできます。これを放置すると、平均以上の家賃下落や空室の原因になりかねません。長期間、家賃収入による生活をしていきたいなら、賃貸物件のメンテナンスに目配りすべきでしょう。これを実行するには、適切な修繕計画を立案し、これに沿った資金を準備していくことが求められます。

そもそも平均的な生活費にはいくら必要なのか?

家賃収入だけで生活するのは可能か。どれくらいの経営規模ならそれが達成できるか。このことをより具体的に考えるには、まず「生活にお金がどれくらいかかるか」を明確にしなくてはなりません。

もちろん、日常生活に必要な額はそれぞれのご家庭で違います。ここでは(公財)生命保険文化センターが実施した意識調査(※)を参考にしてみましょう。この調査によると、夫婦2人で老後生活をしていく上で、最低必要な日常生活費は月額平均22.1万円でした。

さらに同調査では「ゆとりある老後生活をおくるには、最低日常生活費とは別にいくら必要か」についても質問しています。ゆとりある老後生活のための費用の月額平均は14万円。さきほどの日常生活費と合計すると平均36.1万円になります 。

上記の「日常生活費22.1万円」「ゆとりある生活費36.1万円」を家賃収入で得るには、どんな賃貸経営をしていけばいいのかを次項で計算していきます。
※参照データ:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(令和元年度)

家賃収入だけの生活は、木造アパート1棟で実現できる?


前項でご紹介したような「日常生活費」や「ゆとりある生活費」を家賃収入だけでカバーするには、どのような経営計画になるのでしょうか。ここでは100坪の土地を所有しているオーナーが、2階建の木造アパートを新築するケースで考えてみます。

一般的に、木造アパートだと「坪単価当たりの建築費は50万円〜」といわれます。建ぺい率80%の条件だとすると「物件価格は8,000万円」と仮定できます。

(物件価格の計算式)
敷地面積100坪×建ぺい率80%(0.8)×2階建て×坪単価50万円=8,000万円

加えて、一般的な諸経費率15%、自己資金10%、金利2%、借入期間20年などをもとに年間支出を計算すると総計は約677万円です。この支出に対して家賃収入は、仮に家賃を1室あたり8万円とすると、月80万円、年間960万円となります。この結果、得られる年間手残りは次の通りです。

・家賃収入(年間)960万円−支出(年間)677万円=不動産所得283万円

なお、この計算をするにあたっての細かい条件は以下のようになります。

(収入条件)
物件価格:8,000万円
満室時想定年収:960万円
想定空室率:10%
諸経費率:15%

(資金計画)
自己資金:800万円
借入金額:7,200万円
借入期間:20年
借入金利:2%

上記の条件で得られる、年間手残りは283万円でした。これを月額に換算すると、約23万円になります。前項で見たように、夫婦2人で必要な日常生活費は平均月22.1万円でした。すなわち、手残りと必要な生活費が近い額になるため、「アパート1棟を所有すれば、その家賃収入で生活できる」といえます。

ちなみに、夫婦2人がゆとりある生活をするのに必要な額は月36.1万円でした。同条件のアパート2棟を建てれば、月当たりの手残りは約46万円ですので十分カバーできます。

家賃収入で生活できるか−−シミュレーション時の注意点

前項のシミュレーションで「アパート1棟を所有すれば、その家賃収入で生活できる」ということがご理解いただけたでしょう。ただし、シミュレーションをするときには以下のような注意点もあります。

注意点1:家賃相場はエリアによって変わってくる

前に挙げたシミュレーションの家賃設定は「1居室当たり8万円」でした。これは東京圏の新築アパート家賃であれば常識的な設定でしょう。例えば、SUUMO関東版の東京都の家賃相場では、1人暮らしに人気の中野・荻窪・吉祥寺の平均賃料はいずれも8万円前後です。

ただし、東京圏でも郊外や人気のない駅、あるいは地方になると家賃相場は下がります。その他の条件(物件価格、空室率、諸経費など)を変えずに、家賃設定を7万円、6万円に変えて計算すると年間手残りは以下のように変化します。

家賃による手残り変化

物件A 物件B 物件C
物件価格 8,000万円 8,000万円 8,000万円
各条件
  • 年間諸経費677万円
  • 空室率10%
  • 金利2%
同左 同左
家賃 8万円 7万円 6万円
年間手残り 約283万円 約193万円 約103万円

注意点2:エリアによって空室率が変わってくる

空室率もエリアによって変わってきます。しかも、空室率が高いのは、家賃相場が安いエリアという傾向があるので要注意です。入居者のニーズが弱いエリアは、住みたいと思う人が少ないので空室率が高くなります。その空室率を埋めようと、家賃相場がどんどん安くなるというわけです。

つまり、入居者ニーズの弱いエリアに賃貸物件を所有してしまえば、「空室率が高い+家賃収入が少ない」という二重苦に陥る危険性があるということです。ちなみに、空室率が変われば、その他の条件が同じだとしても、年間の手残りは下記のように変化します。

空室率による手残り変化

物件A 物件B 物件C
物件価格 8,000万円 同左 同左
満室時想定年収 720万円 同左 同左
空室率 10% 20% 30%
年間手残り 約103万円 約187万円 約−41万円

同じ賃貸物件でも空室率によって、ここまで手残りが変わってきます。不動産投資をするときには、周辺の空室率をリサーチした上で経営計画を立てるべきでしょう。

注意点3:金融機関によって金利が変わってく

ここまでのシミュレーションでは金利は2%に固定していますが、これは金融機関や各自の信用力によって変わってきます。また、不動産投資のローンにはパッケージ商品の「アパートローン」と個別審査の「プロパーローン」があり、前者の方が金利は割高傾向という点にも留意すべきでしょう。金利が変われば、その他の条件が同じだとしても、年間の手取りは下記のように変化します。

ローン金利による手残り変化

物件A 物件B 物件C
物件価格 8,000万円 同左 同左
各条件
  • 満室年収960万円
  • 年間諸経費677万円
  • 空室率10%
同左 同左
ローン金利 1.5% 2% 3%
年間手残り 約303万円 約283万円 約241万円

不動産投資を始めるときには、複数の金融機関の金利を比較するのが賢明です。

まとめ


ここでは、不動産投資の家賃収入で生活していくには、どれくらいの規模で賃貸物件を経営していけばいいのかをメインテーマに解説してきました。

仮に、敷地面積100坪で木造アパートを建築した場合、日常生活費の平均月22.1万円をカバーできる家賃収入が得られる結果になりました。ただし、家賃設定、空室率、金利などが変われば手残りも変わります。実状に合った経営シミュレーションすることが大事です。

また、この記事で紹介してきた内容はあくまでも概算です。実際には、立地によって固定資産税なども変わります。だからこそ、不動産投資を始める前には、税理士を交えて経営計画の立案や試算をするのが安全です。将来、相続の可能性がある人はなおさらです。

当メディアを運営しているマルイシ税理士法人は、とくに「不動産と相続」に強い税理士事務所として知られます。不動産投資を始める前の経営計画に対するアドバイスから毎月の記帳・確定申告、さらには相続税・所得税の対策まで幅広いサポートが可能です。まずは、お気軽にご一報ください。

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

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