始める前に知っていれば安心

不動産売却とは?契約までの流れや知っておきたい基礎知識について

不動産売却を何も知らないまま始めるのはリスクあり。安値で買い叩かれたり、予想以上に期間がかかったりする可能性大です。スムーズに適正価格で不動産を売却するために知っておくべき「不動産会社探し〜契約までの大まかな流れ」「成功させるためのポイント」についてご紹介します。

目次

不動産の売却とは?売却の目的は?


はじめに、不動産売却にはどんなパターンや目的があるのかを整理しましょう。

不動産の売却とは?

不動産売却には次の4つのパターンがあります。

  • 個人が個人に売却
  • 個人が法人に売却
  • 法人が個人に売却
  • 法人が法人に売却

どのパターンでも基本的に売却までの流れと成功ポイントは共通です。本稿が役立つはずです。

不動産の売却をする目的は?

個人や法人が不動産を売却する目的はさまざまです。たとえば国土交通省の「土地保有移動調査結果」では、不動産売却の目的(売主が個人の場合)として次の項目を挙げています。

  • 住み替え用住宅の建設資金または購入資金を得るため
  • 他の土地と買い換えるため
  • 生活費に充てるため
  • 借入金の返済に充てるため
  • 公共用地となるため
  • 買主または仲介人に強く希望されたため
  • 投資のため保有していた土地の売却
  • 相続税の支払いのため

 など

ちなみに、個人が不動産を売却する理由の上位3位まではこちらになります。

  • 生活費に充てるため:22.9%
  • 買主などの希望:21.4%
  • 建設資金または購入資金:10.1%

不動産を売却する理由の1位は、生活費に充てるためです。こういった人は「不動産をスピーディに売却したい」と考えるケースが多いでしょう。ただ焦りすぎると、相場よりも安い価格で不動産を手放すリスクも出てくるので注意したいところです。

ご参考までに「相続税の支払いのため」という理由で不動産を売却する割合も約3%あります。このなかには事前に相続税対策をしていれば「不動産を手放さなくてもよかった」というケースも数多く含まれているはずです。

不動産売却の大まかな流れ:不動産会社探し〜契約まで


不動産売却を成功させるには、全体の流れを把握しておくことが大事です。それによって「今やるべきこと」「次にやるべきこと」が明確になり効率的に進みやすくなります。

1.不動産会社の選定

不動産会社の選定方法には「実店舗の相談」「ネットの一括査定」の選択肢があります。1つ目の実店舗の相談は、近隣で評判のよい不動産会社に相談するようなやり方です。

2つ目のネットの一括査定は手軽ですが、大手不動産会社に偏る可能性もあります。どちらを選択するにしても、数社以上から相見積もりを取ることが大切です。
※ネットの一括査定では、この時点で仮査定が行われます。

2.不動産の本査定

次に、選定した不動産会社に売却する物件の本査定を依頼します。本査定には物件の基礎情報に加えて、権利関係の情報も影響します。スムーズに査定できるよう関連書類を事前に揃えておきましょう。

3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産会社と媒介契約を結びます。この段階で正式に「不動産会社に媒介を依頼した」ということになります。なお、媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。どれを選ぶかも重要です。
※媒介契約の内容については後ほどくわしく解説します。

4.買い手探し〜交渉

媒介契約を交わした不動産会社が物件情報を発信し、買い手を探します。物件情報の発信方法としては、宅地建物取引業者間のコンピューターネットワークの「レインズ」や物件情報サイトへの情報掲載があります。購入希望者が現れたら、価格交渉や買い手のローン審査などを経て交渉がまとまっていきます。

5.売買契約の締結

売主と購入希望者が合意に至れば、不動産会社の宅地建物取引士が重要事項説明を行った上で、売買契約を締結します。

6.物件引き渡し

売主は物件引き渡しまでに、不動産ローン残債の支払いを済ませなければなりません。完済することで抵当権が抹消され、売却が可能になります。買主の売買代金の残額支払い、売主のローン完済、抵当権の抹消を関係者が集まって同時に行うこともよくあります。

不動産の売却を成功させるポイントは?

不動産売却をスピーディかつ適正価格で売却するための成功ポイントは次の3つです。

  1. 信頼できる1社の不動産会社に依頼する
  2. 状況に合わせた売出し価格を設定する
  3. 最低限の清掃や片付けをしておく


それぞれのポイントをくわしく見ていきましょう。

ポイント1.信頼できる1社の不動産会社に依頼する

不動産会社に売却を依頼するときには、複数の業者に依頼する「一般媒介契約」と1社に依頼する「専任または専属専任媒介契約」があります。

一見すると、複数の不動産会社に依頼をしたほうが売却できる確率が上がりそうに感じられます。しかし実際には、1社に依頼する「専任または専属専任媒介契約」のほうがスムーズに売却できたというケースも多いです。

なぜなら、一般媒介契約だと営業に力を入れて、ようやく購入希望者を見つけても他社に成約を持っていかれるリスクがあるからです。そのため、「一般媒介契約だと営業に力を入れづらい」という不動産会社もあります。
※もちろん、上記を理解した上で一般媒介契約を選択する人もいらっしゃるでしょう。それを否定するものではありません。

成功ポイント2:状況に合わせた売出し価格を設定する

売出し価格は、下記の内容を踏まえて設定する必要があります。

  • 不動産マーケットの動向
  • 物件の人気度
  • 売主の状況(生活費に早く充てたい)

など
これらに加えて、「相場に近い売出し価格に設定する」ことも欠かせません。人気エリアの物件であれば、相場で市場に出せば短期間で売却できる確率が高いです。

ただし、あえて「売出し価格を相場よりもやや安く設定する」という考え方もあります。短期間で売却したいケースではこのような選択もあるでしょう。

逆に、値引きが入ることを想定して「売出し価格をやや高めに設定する」という考え方もあります。思惑通りにことが進めばよいのですが、割高と判断されて購入希望者からの反響が少なくなるリスクもあります。

ポイント3:最低限の清掃や片付けをしておく

購入希望者が内見をしたときに不快に感じないよう、最低限の清掃や片付けをしておくことも大切です。たとえばリビングが雑然としている場合は、不要なものを処分するなどしてすっきりした空間になるよう心がけましょう。

また台所・浴室・洗面所などの水回りは、ひどい汚れやカビなどが目に付かないよう常識的な清掃はしておくべきでしょう。

不動産の売却で「差益(譲渡益)が出るとき」は税理士に相談


不動産の売却は税金と深く関わってきます。不動産分野に特化した税理士として、この点について補足したいと思います。

不動産を売却したときには、物件価格が購入時よりも下がる「差損(譲渡損)」が出る場合と、物件価格が購入時よりも上がる「差益(譲渡益)」が出る場合があります。このうち、不動産の売却で所得税が発生するのは「差益が出たとき」です。所得税は所有した期間によって、5年以下なら約40%、5年超なら約20%という税率の違いがあります。

加えて、不動産の売却は税制の特例・優遇とも関わります。これは譲渡益が出た場合(3,000万円特別控除の特例など)も譲渡損が出た場合(譲渡損失の損益通算など)も発生します。

とくに譲渡益が出る場合は、納税に不備があるとその後の住替えや生活に支障を来しかねません。額が多いときは不動産に強い税理士に事前相談するのが安心です。

まとめ

ここでは不動産を売却するときの流れと成功ポイントについて解説してきました。不動産の売却では、「不動産会社に早く相談しなければ」「物件情報を早く発信しなければ」と焦ってしまうこともよくあります。その結果、安い価格で買い叩かれたり、逆に時間がかかってしまったりします。

さきほど挙げた3つの成功ポイントのなかでも、とくに大事なのは「信頼できる1社の不動産会社に依頼する」ことです。ただ勘違いしたくないのは、「信頼できる不動産会社=査定を高く出す業者」ではありません。売主が適切な判断をできるよう、丁寧にアドバイスしてくれたり情報提供してくれたりする不動産会社が信頼できる業者なのです。

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

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