不動産投資の失敗」を避けるために要チェック!
不動産投資でキャッシュフローを増やすための7つの方法と計算例
「キャッシュフロー」は不動産投資でよく使われるキーワードです。そのため、賃貸経営者なら意味を把握しておくことがマストになります。合わせて、キャッシュフローを増やすための方法や計算例についても抑えておきたいところです。不動産投資の初心者やこれからはじめたい人向けのコンテンツです。
目次
不動産投資における「キャッシュフロー」の意味とは
ビジネスや経営で使われるキャッシュフローと不動産投資で使われるキャッシュフローでは、ニュアンスが異なります。まずはこの部分から理解しましょう。
一般的に使われる「キャッシュフロー」の意味とは
キャッシュフローという言葉は「お金の流れ」を意味します。より具体的にいえば、「収入(流入)と支出(流出)の流れ」あるいは「収入と支出の差額」を指します。
ただ使われるシーンによってキャッシュフローのニュアンスが少し変わってきます。たとえば経営におけるキャッシュフローには、営業活動で得た「営業キャッシュフロー」や投資活動で得た「投資キャッシュフロー」、さらにはこの両者を合わせた「フリー・キャッシュフロー」などもあります 。
不動産投資における「キャッシュフロー」の意味とは
不動産投資におけるキャッシュフローは、家賃収入と支出の差である「手残り」を指すのが普通です。なお、下記がキャッシュフローを出すための計算式です。
キャッシュフロー=家賃収入−(ローン返済額+運用にかかる経費+税金)
一例としては、賃貸マンションを経営していて家賃収入が9万円でローン返済額・経費・税金などが8万円(月割り額)であれば、毎月のキャッシュフロー(手残り)は1万円のプラスということになります。
不動産投資のキャッシュフローの計算例など
この項では、不動産投資のキャッシュフローの計算例と、計算時に減価償却費をどう扱えばよいかについて解説します。
不動産投資のキャッシュフローの計算例
先程ご紹介した下記の計算式に収支内容を当てはめるだけでキャッシュフローが割り出せます。
キャッシュフロー=家賃収入−(ローン返済額+運用にかかる経費+税金)
【物件条件】
- 東京都内の区分マンション
- 築年数:12年
- 物件価格:1,960万円(自己資金700万円)
- その他:金利2%、ローン期間35年など
【キャッシュフロー計算】
- 家賃収入:年間132万円
- 支出:年間90.8万円
- キャッシュフロー(手残り)年41.2万円
【支出内訳】
- ローン返済額:年56万円
- 経費:年 34.8万円
- 固定資産税:19万円
- 都市計画税:4万円
- 所得税率:30%(仮)
なお、上記は区分マンションのキャッシュフローの計算例ですが、一棟マンションやアパートのなどの場合、駐車場収入や自動販売機の利益などもキャッシュフローに含めて計算します。
キャッシュフローの計算で減価償却費はどう扱う?
キャッシュフローの計算時に迷いやすいのは、建物の減価償却費の扱いです。キャッシュフローはあくまでも収支をつかむための材料なので、実際にキャッシュアウト(支出)していない減価償却費はキャッシュフローの計算に含まれません。
つまり、キャッシュフローの収支と帳簿上の収支には差があるということです。そのため、キャッシュフローが黒字でも帳簿上は赤字ということもあり得ます。
不動産投資ではキャッシュフローの出ない収益物件もある
不動産投資では、キャッシュフローの出る収益物件と出ない収益物件があります。「どちらを選択すべきか」は投資家の考え方によって変わってきます。
キャッシュフローの出る収益物件
毎月の収支がプラスになる収益物件です。たとえば、初期投資の少ない築古の戸建てや築古の区分マンションなどはキャッシュフローが出やすいです。また、ローン返済期間を長く設定したり、頭金を多く入れたりすることでキャッシュフローを出すやり方もあります(くわしくは後述します)。
キャッシュフローの出ない収益物件
毎月の収支がマイナスになる収益物件です。たとえば、初期費用のかさむ新築マンション経営では赤字になることもよくあります。赤字部分は他の事業収入や給与収入で穴埋めをしていきます。「キャッシュフローが出ないなら投資の意味がないのでは?」との見方もありますが、完済後に家賃収入を得られるので、将来の私的年金を目指す人向けの選択です。
不動産投資で「キャッシュフローを重視すべき」3つの理由
投資家のなかには、不動産投資をするなら「キャッシュフロー重視すべき」との意見も根強いです。そこには次の3つの理由があります。
理由1.安定した資産運用をしやすい
不動産投資では、突発的な支出があることもよくあります。たとえば、家賃の遅延・設備の修繕・長期空室などです。こういった支出に柔軟な対応できるよう、キャッシュフローを重視して手元キャッシュを十分ストックすることも大切です。
理由2.出口戦略が楽になる
キャッシュフローが多いことは、物件価格に対して家賃収入が高いことを証明する材料になります。こういった高利回りの収益物件には、不動産マーケットに出したときに高値で売却しやすいメリットがあります。
理由3.他の収入や貯金でカバーしなくていい
不動産投資の収支が赤字なら、給与収入や他の事業収入、あるいは貯金などで足りない分をカバーしなければなりません。当然ながら、キャッシュフローがプラスの収益物件であれば、この穴埋めをしなくても済みます。
不動産投資のキャッシュフローを増やす7つの方法
不動産投資のキャッシュフローを増やすための方法は数多くあります。そのうちいくつかを組み合わせると効果的です。
キャッシュフローを増やすのに欠かせない3要素
キャッシュフローを計算する公式は「家賃収入−(ローン返済額+運用にかかる経費+税金)」です。つまり、キャッシュフローを増やすには次のうちのいずれかの方法が効果的ということです。
- 家賃収入を増やす
- ローン返済額を減らす
- 運用にかかる経費を減らす
方法1:家賃収入を増やす
理屈では、家賃収入を増やせばキャッシュフローは多くなります。とはいえ、家賃の設定を上げると空室が発生しやすくなるリスクもあります。そのため、現実的には家賃を上げるよりも「家賃が下がらないよう物件管理に力を入れる」のが無難でしょう。
方法2:ローン返済額を減らす
ローン返済額を減らすには、「収益物件を安く仕入れる」方法があります。ただ割安な物件はそう簡単に見つからないので、少なくとも高値つかみを避けるべきでしょう。合わせてローン返済額減らすには、低金利で融資を受けることも大事です。たとえば複数の金融機関の金利を比較し、一番安いところを選ぶといった努力も必要です。
方法3:運用にかかる経費を減らす
不動産投資の経費を減らす方法としては、「管理委託料の安い管理会社に変更する」「修繕費やルームクリーニング代の安い業者に発注する」などがあります。ただし、経費を減らすことにこだわりすぎて管理の質が落ちれば、入居者満足度が下がるリスクもあります。
さらにキャッシュフローを増やすこんな方法も
方法4:返済期間が長いローンを組む
不動産投資は、できるだけ長期間のローン返済期間を設定するのがセオリーです。不動産投資ローン(アパートローン)は、返済期間を長くすると毎月の返済額が少なくなり、キャッシュフローがよくなります。
たとえば、2,500万円の収益物件をローン期間25年で返済した場合の年間返済額は111万円です。これをローン期間35年に伸ばすと年間返済額87万円と24万円圧縮されます。
※築10年・金利2%などで設定した場合
方法5:頭金を多く入れる
収益物件を購入するとき、頭金を多く支払うと借り入れ総額が少なくなります。そうすると金利分が浮くため、キャッシュフローが多くなります。
方法6:入居率を上げる
退去後、次の入居者が決まるまでの期間(=家賃が入ってこない期間)を短縮化することもキャッシュフロー改善に貢献します。 入居者を決まりやすくするには「営業力のある管理会社に委託する」「仲介会社に支払うマッチングフィー(広告料AD)を増やす」などの方法があります。
方法7:住宅設備を充実させる
入居率をアップさせるためには「収益物件の魅力を高めること」も欠かせません。必要な修繕をこまめに行うことに加えて、住宅設備を充実させるのも一案です。
減価償却費で所得税をコントロールすることも大切
不動産に特化した税理士として1点補足すると、不動産投資のキャッシュフローが増えればその分、所得税が増える点にもご注意ください。
ただし、減価償却費をうまく活用すると、キャッシュフローを出しながら不動産投資の所得税を発生させない、あるいは、全体の所得税を抑えることも可能です。この減価償却費をうまく活用しながら所得税をコントロールするのは一般の人には難しいため、マンションやアパートの経営を得意とする不動産会社か税理士のサポートが必須です。
まとめ
ここでは不動産投資のキャッシュフローを増やす方法や計算例などについて解説してきました。
不動産投資で失敗した人は、このキャッシュフローを甘く見て破綻するケースが大半といえるでしょう。具体的には、キャッシュフローが出ると思っていたものの、実際に経営してみると「赤字物件だった!」というパターンです。そこには次のような原因があります。
- 入居者が決まらない
- 家賃収入が見込みよりも少ない
- 経費や税金が思った以上にかかる
など
また、キャッシュフローが出ないということを前提に不動産投資をはじめたものの、収入の減少や失業で赤字分の穴埋めができなくなったパターンもあります。不動産投資は、所得税の節税メリットもありますが、キャッシュフローとのバランスを考えながら収益物件の購入や経営を考えていかなければなりません。