リスクがないか立ち止まって考えてみましょう

不動産投資詐欺とは?悪質な手口と注意すべきポイントまとめ

不動産投資詐欺にあってしまい、財産を失ったり借金を背負ったりする人もいます。ここでは詐欺被害にあわないためのお役立ち情報として「不動産投資詐欺のよくある手口」「悪徳不動産業者の特徴」「詐欺を回避する方法」などについてくわしく解説します。

監修者情報

不動産専門家 小柳 裕基 (こやなぎ ひろき)

株式会社クオリティーコンサル 代表取締役

専門分野: 不動産のコンサルティング

不動産に関するあらゆる選択肢から、問題解決につながる最適な方法をご提案いたします。特定の商品や解決策に依存しない、公平中立な立場からのコンサルティングを大切にしています。

目次

不動産投資詐欺のよくある手口


不動産投資詐欺には、単独の詐欺師が行うものと不動産詐欺グループが行うものがあります。いずれにしても不動産投資詐欺にはよくある手口があります。これを事前に知っておくことで犯罪者に出会ったとき「これは詐欺だな」と気づきやすくなります。

【よくある手口1】家賃保証による詐欺

国民生活センターのデータを参考にすると、不動産投資に関する相談件数は年間1 ,000〜2,000件程度あります(ただし、投資用マンションのみの相談件数)。


出所:独立行政法人 国民生活センター

上記の相談のなかには、詐欺行為も多く含まれると考えられます。たとえば、国民生活センターが挙げた事例としては「家賃保証があると勧誘されたのに実際には赤字になっている」というものがあります。

家賃保証とは管理会社が物件を借り上げる契約形態で、空室時でもオーナーには賃料が支払われます。なお、家賃保証は「サブリース」あるいは「満室補償」とも呼ばれています。

家賃保証は空室リスクゼロで得する仕組みのように見えます。しかし実際には、状況によって家賃設定を引き下げられる契約内容が大半です。この不動産投資詐欺の対策としては「契約書の内容を十分に理解すること」「入居者ニーズのない(=空室リスクの高い)物件を購入しないこと」が挙げられます
※本稿は家賃保証そのものを否定しているわけではありません。

【よくある手口2】虚偽申告による詐欺

国民生活センターが示しているもうひとつの事例は「虚偽申告による詐欺」です。これはローン審査の書類にウソの収入や預金額を書くよう、不動産事業者から指示されたというものです。また、不動産業者がウソの内容で勝手に申告するパターンもあります。

社会問題になった「かぼちゃの馬車事件」でもこの虚偽申告による詐欺が多数見られました。金融庁の指導によって虚偽申告による詐欺はあまり見られなくなってきた感もありますが、忘れた頃に再び増加する可能性もあり得ます。

この不動産投資詐欺の対策としては「虚偽申告を求められても応じない」「金融機関に提出する書類を確認する」などが挙げられます。

【よくある手口3】偽装入居者による詐欺

偽装入居者による不動産投資詐欺とは、空室なのに入居者がいるように見せかけて物件を高値で売りつける手口です。一例としては、サクラで空室を埋めて物件購入後に退去させるというものがあります。また、空室にカーテンをして入居者がいるように見せかけ、物件を売り出すパターンもあります。

この不動産投資詐欺の対策は、契約前に現地調査を行うのが有効です。合わせて、契約前にレントロールを取り寄せて各入居者の契約時期をチェックするのも(=直近に新規で入居していると詐欺の可能性がある)防止策になるでしょう。

【よくある手口4】 婚活・マッチングアプリによる詐欺

古典的な詐欺の手口には、デート商法があります。これは商品やサービスの契約目的で相手に近づき、契約したら音信不通になるものです。たいていの場合、高額商品を相場よりも割高な金額で売りつけられていることがほとんどです。

ひと昔前までデート商法の場はナンパやSNSが中心でしたが、最近では婚活・マッチングアプリに移行しています。詐欺被害にくわしいジャーナリスト・多田文明さんは婚活・マッチングアプリが「悪徳な勧誘者たちの草刈り場になっている」と警鐘を鳴らしています。

この不動産投資詐欺の対策としては、消費者契約法やクーリング・オフによる契約取り消しが使えます(ただし、適用には条件あり)。

【よくある手口5】手付金持ち逃げによる詐欺

手付金は不動産の売買契約の際に「契約が成立した」意味合いで買主が売主に支払うお金です。この手付金を不動産コンサルタントと称した人物などが持ち逃げする詐欺被害もあります。

詐欺を見破る方法としては「宅建業者の検索システム」の利用が有効です。相手が宅建業者でない場合、不動産の仲介などを生業にすることはできません。それにも関わらず物件仲介をしているなら詐欺の可能性が高いです。

宅建業者の確認については、こちらの国土交通省の検索システムで手軽にできます。社名を入力するだけでその不動産業者の免許証番号、代表者、所在地などが表記されます。ただし、詐欺師が正規の宅建業者を無断で名乗っているケースも考えられるため、手付金を渡す前に先方の会社訪問をするのがよいでしょう。

注意すべき不動産業者の言動と特徴

「不動産投資の詐欺」とまでは言えませんが、詐欺まがいの不動産業者も多数います。彼らには下記のような共通の言動と特徴があります。

【注意すべき言動と特徴1】フルローンを勧めてくる

同じ不動産投資でも、一棟物件の場合は初期費用(頭金)が必要なケースがほとんどです。一方、ワンルームマンションの場合はフルローンが可能なケースもよくあります。資金に余裕のある人がフルローンを戦略的に利用するのは問題ありません。しかし、お金がない人にフルローンを勧めてくる業者は、ワンルームマンション投資詐欺に近い行為です。

いくら初期費用が要らなくても、不動産投資にはお金がかかるシーンがあります。つまり、お金がない人が不動産投資をするのは大きなリスクを伴うということです。それを知っていて物件を売りつけるのは悪質です。

たとえば、物件購入後に修繕費などが発生する可能性もあります。また、物件をフルローンで購入すると 家賃収入の大半が返済にあてがわれるため(あるいは、手持ち資金の持ち出しになるため)、空室発生時に穴埋めをしなければなりません。

【注意すべき言動と特徴2】メリットしか話さない

不動産業者であれば、投資によるメリットを紹介するのは当然のことでしょう。しかし、デメリットに一切触れず、賃貸オーナーの判断を誤らせる不動産業者は要注意です。

一例としては、不動産投資には節税効果もありますが、節税効果が少なかったりほとんどなかったりするケースもあります。賃貸オーナーの個別の状況を無視してメリットばかり強調するのは詐欺とまでは言えませんが、顧客をあざむく行為です。

【注意すべき不動産業者3】購入を急かしてくる

悪徳な不動産業者の典型が「購入を急かしてくる」というものです。さまざまな誘い文句、たとえば「世の中に出ていない物件情報ですよ」「ほかの投資家さんも欲しがっていますよ」など賃貸オーナー焦らせるのが手口です。

不動産業者の役割は賃貸オーナーが判断しやすいよう、情報提供をすることにあります。その範囲を超えて購入を迫る不動産業者は警戒すべきです。

不動産投資詐欺を回避する方法


不動産詐欺はちょっとした心がけで回避することができます。具体的には次の4つの方法があります。

【回避方法1】少しでも不安なら契約をしない

不動産投資で失敗する人のよくあるパターンは、「営業マンの言いなりになってしまった」というものです。営業マンの提案を聞いていれば、何らかの疑問や不安が湧いてくるはずです。その疑問や不安をすべて営業マンにぶつけて、100パーセント納得したときだけ契約に進みましょう。少しでも引っかかりがあれば契約をしないのが不動産詐欺を回避するための鉄則です。

【回避方法2】不動産投資の基礎知識を学ぶ

不動産投資に関わらず、基礎知識を知らずに投資をするのはハイリスクです。最低限の基礎知識を身に付けてから物件選びや契約に進みましょう(もちろん、豊富な知識を得てから契約するのが安全です)。不動産投資の知識を学ぶ方法としては、不動産投の本を読む、不動産メディアの記事を読む、不動産投資家のツイッターやブログに触れるなどがあります。

【回避方法3】不動産会社の信用度をチェックする

最近はインターネットで社名を検索すれば「その不動産会社が信用できるか否か」がある程度判断できます。たとえば「マンション投資 詐欺 会社名」「不動産投資 クレーム」などネガティブなキーワードで検索しても情報が出てこないなら、その不動産業者はある程度信用できます。

ただし、検索情報がすべてではありません。いくつもの視点でその会社をチェックして 信用度を判断しましょう。たとえば、オフィスを訪問して印象を確かめる、社歴や実績をチェックするなどの方法です。

【回避方法4】不動産投資仲間をつくる

いつでも気軽に相談できる不動産投資仲間をつくっておくのも有効です。SNS上で知り合った投資家と情報交換をする、会員制コミュニティやオンラインサロンに参加するなどの方法があります。ただし、そのコミュニティ自体が詐欺の温床になっている可能性もあります。ネットで評判を確認ししつつ、慎重に入会をしましょう。

不動産投資詐欺の被害にあった場合の相談先

万が一、不動産投資詐欺にあった場合の相談先は次の4つが考えられます。

【相談先1】消費者ホットライン

不動産業者の迷惑行為や詐欺行為について、公的機関に相談したい場合は消費者ホットラインに連絡するのがよいでしょう(電話番号は局番なしの188)。このホットラインは、消費者の身近な相談窓口である「消費生活センター」などが運営するものです。同センターは、消費者の苦情・相談に対して助言・あっせんなどを行うともに、事業者に処分・指導などもできます。

【相談先2】免許行政庁

悪質な宅建業者に対して指導を求めるときは、免許行政庁に連絡をしましょう。たとえば、断ったのにしつこい勧誘を受ける、絶対に儲かると言われたなどのケースです。その内容に合わせて適切な処置をしてもらうことが期待できます。

ちなみに、免許行政庁とは国土交通大臣または都道府県知事のことです。こちらの国土交通省の検索システムで社名検索をすれば、対象の宅建業者を管轄している免許行政庁が表示されます。

【相談先3】宅地建物取引業保証協会

詐欺を行っている不動産業者が宅建業者であれば、宅地建物取引業保証協会に相談するのも得策です。同協会は宅建業者とのトラブルの対応やこれが解決しない場合の弁済業務あと行う機関です。なお、同協会には宅建業者の約8割が加入している「全国宅地建物取引業保証協会」と「不動産保証協会」があります。

【相談先4】弁護士

不動産投資詐欺を訴訟・裁判で解決したいとき、あるいは専門家のアドバイスを受けたいときは弁護士に相談するのがよいでしょう。相談料は無料〜1時間1万円(30分5,000円)など事務所によってさまざまです。

まとめ

ここまで本稿では、不動産投資詐欺のよくある手口から始まって、注意すべき不動産業者の傾向、さらには詐欺を回避する方法などについてお話してきました。詐欺師は誠実な営業マンの顔で近づいてきます。「この営業マンや不動産業者は信頼できそうだ」と感じたときでも、提案や物件にリスクがないか立ち止まって考えてみましょう。

不動産投資詐欺に引っかかれば、資産形成を進めるどころか資産を失います。とくに初めて不動産投資をする人は慎重の上に慎重を期する、それくらいの気持ちで不動産業者を選ぶのがちょうどよいのかもしれません。

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