「軽減措置」を使えるかどうか

登録免許税とは?税金の計算と軽減税率について

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

目次

登録免許税とは?


登録免許税とは、行政に対して、法律に定められた一定の申請手続きを行う際に納める国税です。
登録免許税法によると、その課税対象は、「登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明」と幅広く、内容も、弁護士登録など職業に関するもの、特許など権利に関するもの、金融機関の営業免許など多様です。
この中で、職業などに関係なく利用する可能性が高い手続きといえば、「不動産の登記」ではないでしょうか。
「マイホームを建てた」「親の家を相続した」など、不動産登記をする機会は誰にでも訪れます。
しかし、不動産登記を「不動産の名義変更」くらいの軽いイメージで考えていると、登録免許税という出費に驚かされることがあります。

場合によっては数十万円になることも

不動産登記を、司法書士にお任せするという選択肢もあります。
その場合、登録免許税の支払いは司法書士が済ませてくれますが、報酬と一緒に実費として請求されます。
登録免許税のことを知らないと、その請求金額にびっくりすることでしょう。
戸建て住宅を購入したときの登録免許税なら、数十万円になることも珍しくありません。
登録免許税の「軽減措置」を使えるかどうかが重要になってきます。

登録免許税の計算方法

【計算式】
登録免許税の課税標準×税率

登録免許税の課税標準とは

登録免許税の課税標準は、手続きの種類ごとに法律で決められています。
不動産を購入したときの登記であれば、課税標準は「不動産の価格」です。
「不動産の価格」とは、市町村が固定資産税を計算するときに使う「固定資産税評価額」になります。
「固定資産税評価額」は、不動産の購入価格とはまったく別の物で、実際の取引価格の5割から7割程度が目安になります。
固定資産税評価額を確認したいときは、市町村が発行する「固定資産評価証明書」(1通400円ほど)を取得する方法があります。
所有者に毎年届く「固定資産税課税明細書」を見ることができれば、そこにも書かれています。
登記手続きで確実に使えるのは「固定資産評価証明書」ですが、地域によっては、「固定資産税課税明細書」の提出でも手続きができる場合があります。
申請先の法務局に確認しましょう。
なお、新築の物件で、まだ市町村で評価額を決定していない建物を登記する場合は、登記官が価格を認定することになっています。

登録免許税の税率

税率もまた、手続きによって変わります。
不動産に関するものであれば、0.1%~2%ほどです。
中には、「1件につき◯円」のような、税率ではなく「件数×金額」で計算する登録免許税もあります。

登録免許税の税率と軽減措置方法

不動産登記の種類と税率

不動産に関する登記手続きには、たくさんの種類があります。
ここでは、主な不動産登記の種類とその税率を、一覧表でご紹介します。
表中に「軽減措置あり」としている登記については、一定の要件を満たす場合に、登録免許税の軽減措置が受けられる可能性があるものです。
軽減措置については、次項で解説します。

登記の内容 課税標準 税率等
所有権保存登記 不動産の価額 1,000分の4(軽減措置あり)
所有権移転登記 不動産の価額 相続 1,000分の4
贈与 1,000分の20
売買 家屋 1,000分の20
(軽減措置あり)
土地 1,000分の15
(令和5年3月31日まで)
地上権、永小作権、賃借権等の設定登記 不動産の価額 1,000分の10
配偶者居住権の設定登記 不動産の価額 1,000分の2
地役権設定登記 承役地の不動産の個数 一個につき1,500円
不動産の表示の変更登記 不動産の個数 一個につき1,000円
登記の抹消 不動産の個数 一個につき1,000円

登録免許税の軽減措置の税率一覧と適用方法

個人が自宅として、令和4年3月31日までに、新築・未使用・中古の家屋を購入したとき、その所有権保存(移転)登記には、登録免許税が通常時の半分以下になる軽減措置があります。
さらにその家屋が、新築か未使用で取得した「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」にあたる場合は、より有利な税率で登録免許税を計算することができます。

軽減措置の税率一覧

通常の税率 軽減措置による税率
住宅用家屋 特定認定長期優良住宅 認定低炭素住宅
保存登記 1,000分の4 1,000分の1.5 1,000分の1 1,000分の1
移転登記 1,000分の20 1,000分の3 マンション:1,000分の1
一戸建て:1,000分の2
1,000分の1
適用可能な取得状況 新築・未使用・中古 新築・未使用 新築・未使用

(参考)国税庁HP:登録免許税の税額表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

軽減措置を受けるための方法

軽減措置を受けるには、

  • 新築後or取得後1年以内に登記をすること
  • 登記の申請時に、市町村が発行する「住宅用家屋証明書」を他の書類と一緒に提出すること
  • が必要です。

「住宅用家屋証明書」の交付を受ける際には、市町村から、軽減措置の条件を満たす住宅であるかどうかを確認されます。
下記の条件に注意してください。

  • 取得した個人が住む家屋であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 中古住宅には築25年・築20年以内の要件があること

中古住宅には、耐火建築物にあたるかどうかで、築25年・築20年以内の建物かどうかの要件があります。ただし「耐震基準適合証明書」など一定の書類があれば、築年数は問われません。

登録免許税の手続きについて

登録免許税の目安

登録免許税の金額の目安を、具体例で見ていきましょう。
感覚的にわかりやすいよう、不動産の価格(課税標準)は土地・家屋でそれぞれ500万円(合計1,000万円)とします。

ケース1:不動産を新築した(ローンなし)

❲登録免許税:9万5,000円【軽減措置なら8万円~8万2,500円】❳
(内訳)
・土地の移転登記:7万5,000円(500万円×1,000分の15)
・家屋の保存登記:2万円(500万円×1,000分の4)※

※ 家屋の登記が軽減措置の対象であれば、2万円が5,000円~7,500円(500万円×1,000分の1~1.5)になります。

ケース2:中古の不動産を購入した(ローンなし)

❲登録免許税:17万5,000円【軽減措置なら9万円】❳
(内訳)
・土地の移転登記:7万5,000円(500万円×1,000分の15)
・家屋の移転登記:10万円(500万円×1,000分の20)※

※ 家屋の登記が軽減措置の対象であれば、10万円が1万5,000円(500万円×1,000分の3)になります。

ケース3:ケース2に住宅ローン1,000万円がある場合

❲登録免許税:21万5,000円【軽減措置:10万円】❳(内訳)
・土地の移転登記:7万5,000円
・家屋の移転登記:10万円 
・抵当権設定登記:4万円(1,000万円×1,000分の4)

家屋の登記が軽減措置の対象であれば、ケース2のとおり、10万円が1万5,000円になります。
また、抵当権設定登記の登録免許税にも軽減措置があります。
通常は、「債権金額×1,000分の4」ですが、軽減措置が使える住宅に対する借入の場合は、「債権金額×1,000分の1」となります。
軽減措置の対象であれば、登録免許税の合計は、10万円(7万5,000円+1万5,000円+1万円)になります。

ケース4:親の不動産を相続した

❲登録免許税:4万円❳
(内訳)
・土地の移転登記:2万円(500万円×1,000分の4)
・家屋の移転登記:2万円(500万円×1,000分の4)

登録免許税の手続き

登録免許税はいつ払うのか

登録免許税は、法務局に現金を持参しても納付することはできません。
あらかじめ、税務署、銀行や郵便局等で納付し、その際に受け取る領収書を、登記の申請書に貼り付けるという流れで手続きを行います。

上記以外の納税方法

登録免許税の額が3万円以下の場合、税額分の収入印紙を購入して、登記の申請書に貼り付けることも可能です。
また、登記をオンライン申請するときは、インターネットバンキング,モバイルバンキング、電子納付対応のATMを利用して納付する方法もあります。
なお、オンライン申請でも、現金納付や印紙納付を行うことは可能です。
その場合は、「登録免許税納付用紙」に領収書や印紙税を貼り付けて、住所や氏名など必要事項を記載の上、法務局に持参するか郵送することで納付することができます。

まとめ


不動産登記にかかる登録免許税は、不動産の評価額に応じて高くなります。
住宅の取得時は、必ず軽減税率の適用を検討し、証明書を取得しましょう。
なお、親の相続などで得た不動産についても、いくつか特例があります。
その一つが、令和4年3月31日までに行う土地の相続登記で、亡くなった人の所有権移転登記にかかる登録免許税を免除するというものです。
親が登記をしないまま亡くなってしまい、相続人が親の登記をしなければならないケースで使えます。
2023年度には、相続などで取得した土地の登記がきちんと行われるよう、3年以内の登記を義務付ける法改正が行われる見通しです。
罰則として10万円以下の過料を科すことも検討されています。

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