家賃収入の青色申告は、税理士にご相談ください。

家賃収入にかかる税金はどのくらい?計算方法と確定申告の方法まで

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

目次

家賃収入にかかる税金と課税対象

家賃収入には不動産所得税がかかる

個人名義の不動産を賃貸して得た家賃収入は、「不動産所得」として、所得税や住民税、場合によっては個人事業税の課税対象となります。
所得税は国、個人事業税は都道府県、住民税は区市町村が徴収します。
税務署に所得税の確定申告をする際、確定申告書第二表の「住民税、事業税に関する事項」を記入すれば、個人事業税と住民税について個別に申告する必要はありません。

不動産所得税がかかる課税対象

不動産から生じる不動産所得とは、主に

  • 土地や建物などの不動産の貸付け
  • 地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け

から生じる所得をいいます。
土地や住宅・オフィスなど建物の家賃収入、地上権などを設定する際の権利金などが該当します。
他にも、賃貸に伴って発生する下記の費用も、不動産所得になります。

  • 名義書換料、承諾料、更新料または頭金などの名目で受領するもの
  • 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
  • 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など
  • 広告等のため、土地、家屋の屋上や側面、塀等を使用させる場合の使用料

なお、下宿のように食事を提供する場合の所得は、事業所得や雑所得になります。
不動産所得は、あくまで不動産そのものの賃貸から生じた所得ですので、食事の提供のような人的サービスがメインであるようなものは、対象外です。

家賃収入にかかる不動産所得税の計算方法

不動産所得には、所得税や住民税、場合によっては、この2つの税金に加えて個人事業税がかかります。
所得税や住民税は、不動産所得のみから計算するのではなく、1月1日~12月31日の間のすべての所得の合計額から計算します。
具体的には、下記の計算式になります。

【所得税の計算式】
(各種所得の合計額-所得控除)×所得税率-税額控除

※令和19年12月31日まで、所得税額の2.1%に相当する「復興特別所得税」も同時に納税しなければなりません。

【住民税】
(各種所得の合計額-所得控除)×住民税率-調整控除・税額控除

※上記は、住民税の「所得割」の計算式です。住民税の金額は、この「所得割」と、5,000円程度の「均等割」の合計額になります。

所得税と住民税では、所得控除や税率、税額控除に少し違いがありますが、「各種所得の合計額」(不動産所得や他の所得の合計)の計算方法は同じです。
所得税や住民税の不動産所得は、下記のとおり計算します。

【不動産所得の計算式(所得税・住民税共通)】
総収入金額−必要経費

総収入金額とは

家賃収入などです。
前項の「家賃収入にかかる税金と課税対象」をご覧ください。

必要経費とは

上記の収入を得るために、直接必要な費用をいいます。
具体的には、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費、不動産の管理費、事務用品費などです。
個人で家賃収入を得ている場合、注意が必要なのは、プライベートな費用との区分になります。
税務では、プライベートな費用のことを「家事費」といい、プライベートと事業で使用したものが混ざっている費用のことを「家事関連費」といいます。
たとえば、自宅の一部を事務所として使用している場合の自宅の固定資産税や家賃、営業用にも使用している車両のガソリン代などが、家事関連費の例といえます。
家事関連費は、家事按分といって、業務の遂行上必要な部分とプライベート部分とでその費用を明確に区分できる場合に限り、業務の部分を必要経費に計上することができます。

青色申告の特典

所得税の確定申告を「青色申告」で行うと、節税に有利な特典を受けることができます。

【青色申告の主な特典】

  • 青色申告特別控除
  • 純損失の繰越控除・繰戻還付
  • 小規模事業者の現金主義による所得計算
  • 30万円未満の減価償却資産の特例

など
青色申告を始めるには、税務署に「青色申告承認申請書」を期限内に提出し、さらに、一定の帳簿の備え付けや、7年の帳簿書類の保存(一部5年でよいものもあります)などの要件を満たす必要があります。

青色申告特別控除とは

上記の特典のうち、利用するメリットが特に大きいのは、「青色申告特別控除」です。
要件を満たせば最大65万円(※)、それ以外は10万円の控除を、毎年、不動産所得から控除することができます。

【65万円の控除を受けるための要件】

  • 青色申告者であること
  • 正規の簿記の原則(一般には複式簿記)で帳簿を付けること
  • 申告期限内に、貸借対照表等を添付した所得税の確定申告書を提出すること
  • 不動産の貸付けが「事業的規模」で行われていること

(※)令和2年分からは、電子申告または電子帳簿保存のいずれかを行わないと、控除額が55万円になります。

事業的規模とは

アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上かどうか、独立した家屋の貸付けであればおおむね5棟以上かどうかで事業的規模であるかどうかを判定します。
なお事業的規模であれば、青色申告者が事業専従者に支払った給与を経費にできるなどの特典も受けられます。
事業専従者の給与を経費にするには、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。

家賃収入にかかる税金の税率

【所得税率】

所得税率は、5%~45%です。
所得控除を差し引いた後の額が一定額を超えると、その超過部分に適用される税率が上がります。
このような税率を、超過累進税率といいます。
超過累進税率が適用される税金の計算は、下記のような速算表を使用すると便利です。

<所得税の速算表>

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

国税庁HP: 所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

【住民税率】

住民税(所得割)の税率は、一律10%です。
10%は、都道府県民税と区市町村民税の合計で、東京都の場合は、都民税4%、区市町村民税6%になります。いずれも区市町村が都道府県の分も合わせて徴収します。
「所得割」と同時に徴収される「均等割」は、おおむね5,000円です。
東京都23区の場合は、都民税1,500円、区民税3,500円の合計となります。

家賃収入の税金で注意したいポイント

個人事業税がかかるケースがある

個人事業税とは

個人事業税とは、一定の事業から生じた所得が290万円を超えると、その超過部分に対して発生する税金です。
都道府県税事務所が徴収する地方税になります。
一定事項を記載した確定申告書を提出すれば、前述のとおり、都道府県税事務所に申告をする必要はありません。
確定申告書の内容から事業税が生じることが判明すれば、8月ころに、都道府県税事務所から納税通知書が送られてきます。

個人事業税の課税対象

個人事業税の課税対象になるのは、第1種事業から第3種事業(全70業種)の法定業種から発生した所得です。
不動産所得がある場合、第1種事業の「不動産貸付業」や「駐車場業」に該当すれば、個人事業税が発生します。
「不動産貸付業」と「駐車場業」の認定基準は、各都道府県のホームページなどでご確認ください。

個人事業税の計算方法

(①不動産所得+②所得税の専従者給与(控除)額-③個人事業税の専従者給与(控除)額+④青色申告特別控除-⑤各種控除額)×⑥税率

(解説)
①:所得税の不動産所得と同じです。
②③:個人事業税にも所得税と同額で、専従者給与(控除)額を必要経費に算入するルールがあります。しかし、所得税には、青色申告者であるかどうかで必要経費にできる額が変わるものがあり、個人事業税にはそれがありません。そのため、所得税の計算で必要経費とした分を一旦足し戻し、改めて個人事業税の必要経費を差し引きます。
④:所得税の青色申告特別控除は、個人事業税には適用されません。
⑤:事業主控除として年間290万円を控除します。他にも、青色申告者の繰越控除の適用があります。
⑥:不動産貸付業や駐車場業の税率は、5%です。

消費税がかかるケースもある

基準期間(2年前の事業年度)における課税売上高が1,000万円以下である場合、消費税を申告したり納税したりする義務はありません。
不動産の賃貸収入のうち、土地の賃料や居住用建物の賃料は、基本的に非課税取引になりますので、不動産所得のみの個人で1,000万円もの課税売上高が生じるのは、オフィスビルなどの賃料などを得ているケースと考えられます。
ただし、土地の賃料にも例外的に課税売上高になるものがあります。
不動産賃貸経営で、課税売上高にあたる主なものは、下記のとおりです。

【土地の賃貸(駐車場を除く)】

  • 建物や施設利用に伴う使用
  • 一時的な使用・貸付期間が1か月未満

【土地(駐車場)】
下記のいずれかにあてはまる場合

  • 地面の整備をしている
  • フェンスor区画or建物の設置をしている
  • 駐車する車両の管理をしている
  • 一時的な使用・貸付期間が1か月未満

【建物(居住用)】

  • 一時的な使用・貸付期間が1か月未満

【建物(居住用以外)】

  • 賃料はすべて課税売上高になります。

【敷金、保証金、権利金など(居住用以外の建物)】

  • 借り主に返還されないもの

不動産所得に確定申告は必要? 

確定申告が不要な場合

給与や公的年金のうち、支払額が一定額を超えるものは、支払い時に所得税の源泉徴収が行われます。
この徴税のしくみによって、源泉徴収済みの給与や公的年金がメインの収入である方は、それ以外の所得が20万円以下である場合、確定申告をしなくてよいことになっています。
具体的には、下記の人は確定申告不要となります。(源泉徴収の対象にならない給与や年金がある場合、このルールは適用されません。)

給与をもらっている人

給与を1か所かのみからもらっている人の場合 給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下の人
給与を2か所以上からもらっている人の場合 年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人

公的年金等をもらっている人

公的年金等の収入金額(源泉徴収前の額)が400万円以下で、かつ、それ以外の所得が20万円以下の人

給与や年金をもらっていない人(例:家賃収入で生計を立てている人など)

次の金額で残額がなければ、確定申告の必要はありません。
(各種の所得の合計額-所得控除)×税率-配当控除

確定申告が必要な場合

「確定申告が不要な場合」にあてはまらなければ、基本的に確定申告が必要になります。
また、確定申告が不要な場合であっても、確定申告をしなければ受けられない控除を適用したい場合や、青色申告の特典を受けたい場合は、青色申告による確定申告を行う必要があります。

【確定申告によって受けられる控除の例】

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除
  • 住宅ローン控除
  • 【青色申告の特典の例】
    「家賃収入にかかる不動産所得税の計算方法」を参考にしてください。

    家賃収入があって確定申告をしない年はない?

    家賃収入がある場合、不動産所得がプラスになるときは青色申告特別控除を適用することが節税に有効です。
    また、不動産所得がマイナスとなり欠損金があるときは、青色申告による確定申告を行って、繰越控除を適用すれば、翌年以降3年間、その欠損金を繰り越すことができ、黒字化した年の所得から控除することができます。
    繰り越している間も、確定申告が必要になります。
    したがって、家賃収入による利益があってもなくても、確定申告(青色申告)には特典がありますので、確定申告をしない年は基本的にないと考えてよいでしょう。

    まとめ

    家賃収入にかかる税金は、青色申告をすることによって、白色申告よりも高い節税効果を得ることができます。
    青色申告をするには、青色申告承認申請書の提出や、法定の帳簿の備え付けや保存が必要です。
    特に節税効果の高い65万円の青色申告特別控除については、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)によって作成した、貸借対照表などを確定申告期限までに提出しなければなりません。
    家賃収入の青色申告は、税理士にご相談ください。

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