相続税の節税対策の参考

●専門家のインタビュー〜石渡芳徳税理士〜

相続は納税資金の確保や相続争い(いわゆる「争族」)をさけるための対策も、あらかじめ準備しておけばそれほど怖いものではありません。 今回は相続における「節税」と「納税資金の確保」と「争族対策」の3つに的を絞り、それぞれに応じた代表的な対策方法について解説していきます。

平成25年度の税制改正により相続税の基礎控除は大幅に減額され、従来と比べると相続税の課税対象者は約2倍に増えました。また取得金額が2億円以上の税率が引き上げられ、最高税率は何と55%にもなってしまいました。

相続税や贈与税のないシンガポールなどの国と比べるとあまりにも税率が高く、どうしようもない気分になってしまいがちですが、実はそれほど落ち込む必要はありません。なぜなら、相続税には節税のための方法がたくさんあるからです。

相続のカギを握る3つの相続対策

相続は、大切な人が亡くなり、高額な財産が分割され、最終的には多額の資金を納税することになるため、相続税の課税対象者にとって相続は人生における一大事です。

しかし、相続における一大事を無事に乗り切る人もいれば、とんでもないトラブルに巻き込まれてしまう人もいます。この両者を分けているものとは、いったい何なのでしょうか?

それは、ひと言で言ってしまえば事前の準備の有無です。何事も準備さえしておけばある程度対応することができますが、相続の場合はその傾向が非常に強く、特に長めの準備期間を設けることが成功のカギを握っています。

長めの準備期間を用意し、相続を無事乗り切るために対策すべき内容が以下の3点です。

相続税の税金対策
納税資金確保の対策
遺産分割時の争族対策

相続税の税金対策

冒頭でお話ししたように、相続税は高額になりがちではありますが、そのための節税ツールや対策方法はすでに数多く確立されています。また最近では相続専門の税理士などもいるため、事前に相談しておけば、相続の専門家ならではの知識を屈指して多角的に検討した上で最も合理的な節税プランを立案することができます。

納税資金確保の対策

相続財産には、現金預金などの流動性の高いものよりも、不動産や非上場株式のように流動性や換金性の低い財産の方が圧倒的に多い場合があります。このようなケースですと、相続財産の中から相続税の納税額を用意することが不可能になってしまいます。

そのため、事前に相続税のシミュレーションを行い、納税資金確保のための対策を立てておかなければなりません。

遺産分割時の争族対策

遺言書があれば遺言書に従って遺産を分割していきますが、遺言書がなければ基本的には話し合いによって分割方法を協議します。しかし生前に特別な寄与があった場合や、特定の相続人にのみ高額な贈与があった場合、また被相続人の介護を誰がしたのか等も混じり合ってしまうと、遺産分割協議どころではなくなってしまいます。このような争族を避けるためには、事前に十分な準備をしておかなければなりません。

それではこれらを踏まえた上で、次章以降でこの3点についての具体的な対策をご紹介していきます。

相続税の節税対策について

相続税の節税対策は、大きく分けると3つあります。

相続財産を減らす
相続人を増やす
財産評価を下げる

の3つです。

ではこの3つの内容に応じた対策を確認してみましょう。

相続財産を減らす

相続財産を減らせば、相続税を減らすことができます。もちろん財産を散在してしまうのではありません。相続財産を減らすための有効な対策としては、以下のものが挙げられます。

暦年贈与により子や孫などに財産を移す・・・年間110万円以内の贈与であれば非課税となります。これを多くの人に毎年行えば、相続財産を減らすことができます。
生命保険の非課税枠を利用する・・・被相続人が契約者の死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」で求められた金額までの非課税枠が設けられています。

相続人を増やす

被相続人に実子がいなければ2人まで、実子がいる場合でも1人は養子として法定相続人にすることを認められています。法定相続人を増やすことにより、基礎控除額を600万円、生命保険の非課税枠を500万円増やすことなどができます。

財産評価を下げる

財産評価を下げる方法として最も多く利用されているのが、小規模宅地の特例です。被相続人が生前住んでいた家の敷地や生前営んでいた事業で利用されていた土地などは、ある一定の条件をクリアすることにより最大で80%も評価額を減額することができます。

なお、相続税の対策はこの他にも数えきれないほどあり、特に相続財産が多くなればなるほどその効果を発揮することができます。ただし節税効果を最大限発揮させるためには、そのための準備期間を十分にとらなければなりません。

広大な土地や複数の賃貸物件をお持ちの方、また非上場株式をお持ちのオーナー経営者の方などは、相続を専門にしている税理士にできるだけ早い段階から相談されることをおすすめします。

【次ページ】納税資金確保の対策について

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