法人特有の節税対策とは?

【不動産の法人化】不動産管理会社の設立・活用ポイント・節税方法を徹底解説

監修者情報

税理士 藤井 幹久 (ふじい みきひさ)

マルイシ税理士法人 代表社員税理士

専門分野: 不動産税務、相続・事業承継対策、税務顧問、セミナー講師等

不動産をお持ちの方(個人及び会社)の、税理士業務と相続・事業承継対策を専門としています。これまでに10,000件を超える不動産と相続に関する税務相談を行ってまいりました。

不動産管理会社の活用事例

実際に不動産管理会社を設立して法人化すると、どれくらい節税になるのでしょうか。
不動産所有方式(建物所有法人)による法人化により、節税に繋がった事例を具体的に見ていきましょう。
今回の個人のオーナーは60歳、55歳の奥様とお子様が一人いらっしゃいました。年間の家賃収入が2,000万円あり、毎年の経費は800万円かかります。その他、生活費として年間450万円の支出がありました。
事例の前提と法人化のスキームは下記のとおりです。

個人事業を継続した場合

現状のまま個人事業を継続した場合、どれくらいの税金がかかるのでしょう。毎年の所得税等と、将来想定される相続税を計算すると下記のとおりとなります。

個人事業を継続した場合には、所得税等で毎年335万円も納税をしております。また、現状で計算した相続税の見込額は1,230万円でした。
毎年多額の所得税等を支払っているため、今後5年、10年と年数を重ねていけばその累積支払額もかなりのものとなります。
そして、家賃収入から経費や税金、生活費などの支出を控除すると毎年515万円が手取金額(相続財産)として残り、これが蓄積して相続財産が増加すると、将来想定される相続税もどんどん膨らんでいきます。15年後には相続税の見込額が3,047万円となり、現状の相続税よりも約1,800万円も増加することになります。

法人化した場合

それでは、今回のスキームにより法人化した場合には、どれぐらいの税金になるのでしょうか。法人化した後の毎年の所得税等を計算すると、下記のとおりとなります。

法人化した場合では、奥様を法人の社長にして役員報酬を年間400万円支給します。本人の収入は法人からの地代のみとなり、毎年の所得税等の負担が軽減されます。
役員報酬を受けた奥様が負担する所得税等や、家賃収入を得る法人の法人税等を併せても、納税額は合計で178万円に抑えられます。個人事業を継続した場合よりも、所得税等の負担が毎年157万円も減少します。
ただし、個人・法人のトータルで手取金額は毎年43万円しか増加しておらず、税金が減った分だけ手取金額が増加するわけではないのが分かります。これは役員報酬を支給すると社会保険への加入が強制となり、社会保険料の支払いという法人化特有のコストが発生するためです。単純に節税のメリットのみをみて安易に法人化をすると、社会保険料という想定外のコストがかかり、かえって手取金額が減少してしまうこともあります。
法人化をして役員報酬を支給することが前提の場合、必ず社会保険料の負担まで考慮して慎重に判断するようにしましょう。

続いて、法人化を前提として将来想定される相続税を計算すると、下記のとおりとなります。

個人事業を継続していれば本人に蓄積されていたはずの財産が、法人を通じて配偶者に渡り(又はその法人自体に蓄積)、本人の相続財産の増加を抑えることができます。したがって、将来想定される相続税も緩やかな増加となり、15年後の相続税の見込額でも現在から75万円程度しか増加することはありません。
また、あらかじめお子様を法人の株主としたのも、相続税の節税ポイントです。法人の財務状況が良くなりその株価が上昇したとしても、株式そのものが本人の相続財産ではないため、相続税に影響を与えることはありません。

法人化による節税効果の検証

上記の法人化による節税効果をまとめると、下記のとおりとなります。

毎年の所得税等の節税額と、将来予想される相続税の節税額をトータルすると、法人化により5年で約1,100万円、これが15年にも及べば約4,000万円の節税効果があります。
今回の事例では、法人化により多大な節税効果を受けられる結果となりました。
このように、法人化をする場合には、相続までの年数が長い方が節税できる期間も長くなるため有利です。
毎年多額の税金の支払いに悩まされている方や、将来の相続税が不安な方は、早めに法人化を検討したほうがいいでしょう。

まとめ

法人化をして不動産管理会社をうまく活用することで、将来にわたり大きな節税効果を得られる可能性があります。
しかし、法人化をする際に考慮しなければならないのは、節税だけではありません。
法人化をすると、当たり前ですが法人に家賃収入が入るため、個人にお金を移すには役員報酬の支給などに手段が限定され、これには所得税等や社会保険料なども負担しなければなりません。将来マイホームの購入など、個人で一度にまとまったお金が必要になる予定のある方は、安易に引き出して使うことはできないため注意が必要です。
また、将来の相続の際の遺産分割も考慮したうえで、どの物件を法人化するか、どのタイミングで誰に法人の株式を承継させるかも重要になります。
これらはあくまで一例ですが、法人化をするか否かについては、節税以外にも様々な観点から総合的みて判断する必要があり、かなり難易度の高いものとなります。
したがって、まずは不動産や相続に強い税理士に相談をし、法人化をした場合のシミュレーションをすることをお勧めします。
そして、実際に法人化をして終わりではありません。相続までの長い期間において、決算申告だけでなく、適切なタイミングで有効なアドバイスをしてくれるような税理士をパートナーとして、節税対策や賃貸業の承継を進めていくようにしましょう。

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